はじめての硬い肉を食む幼児 顔全体で咀嚼している
0
死なないで、誰も、私より早く。 贅沢だねと春が笑った
1
ああ あれはウクライナの国旗だと 子供が指さす 町家の軒先
1
叫ぶこと音声すべて禁止でも拍手こぶしで届け心よ
2
終止符をおのれ憐れむことすべて飯事ママゴトのごときそんな日常
2
見てほしくないところまで見た挙げ句 得意気に話すヤな占い師
0
「この下に怪物がいます」と書いて覗き込まずに生きる手もある
2
夕焼けで触れる程度の「エモさ」をそれでもまだ手放せずにいる
3
鼻の奥くすぐる花粉に感謝して君と同じくしゃみができる
1
桜の樹枝の先から色づいていつかの君の指先みたいに
12
沓の音、身体つ音高らかに祈りは響く達陀の夜
8
第三次世界大戦を憂う間にショートカットになりにけり 夏
1
走馬灯みたいなエンドロールに名が流れた順に全員殺す
2
月半ばカレンダーまだ捲らない 二月三十九日の夕闇
0
美味いほど酒はのんでも呑まれるな酔いの覚めには朝焼けを
1
ミイラ取りがミイラになってしまう?じゃあ、黄昏にでも挨拶しようか。
0
野心とか 利己心とかが 屑となり 愛と平和な 世が来るように
0
いつだって 憐みなんか ありゃしない 力競って 戦う世界
0
戦いを 好む輩が てっぺんに 登れるために 弱者が犠牲
0
競争や 戦うことを 合理化し 金や力を 崇める末路
0
人間は いつも戦争 殺し合い 愛を学ばず 兵器を作る
0
ノートには消費は似合わないんだと埋められた言葉を見て思う
1
肉の世に 身を投ずれば 死の後は 荒野に嘆く 獣のように
0
この世とか この世の像を 拝むなら 天は遠のき 獣のように
0
イメージに うつつを抜かす 人は皆 目を覚ますなよ 辛い真実
0
画面にて 一生過ごす 人生に 疑問を感じ 画面に向かう
0
今という この瞬間が 現実で 過去も未来も 思想に過ぎず
0
ぼろぼろと崩れていった言葉たちを拾い集めて歌とする
0
どれだけきれいに洗っても臭いが取れずゴミ箱にされる人生
0
死なせては生んで、生んでは死なせての連鎖を一つここで止めます
2