病院でもらった頓服 口に入れ 寒気よどうかお手柔らかに
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目標も夢もなんだか浮かばない こころ痛めても引きずられるまい
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雪国の小寒に雪ならで雨が降る。天変地異とさへ言ふべかりける
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バァバァの 夜具のみだれを なおしみる わらべのごとき ほそいうなじの
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いつだっておじさん達の好む言葉「命短し恋いせよ乙女」
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祖父付けし吾の名の意味を訊きたくて 仏壇座り手合わす命日
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いつまでもこんな幸せ続かない そう思いつつ沢庵切ってる
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黒豆に田作りサーモンレモン添え 友の一皿我いたわりて
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帰京した弟好きな ポテサラを 黙って作る母九十五
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「ボランティア行きたい」という我に夫つま 足手まといのトリセツを解く
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段ボール少しは寒さ和らぐか 暖無き夜に思い巡らす
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眠いけど眠りたくない勝っている 布団の中の一人の歌会
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生きるために必要なものだけ殺していく。残ったものを抱いて眠りたい。
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まだ何かやらなきゃいけないことがあるような気がしてずっと休んでる
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半世紀はとってもとっても長いなあ味わう不安も莫大だなあ
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気がつけば 4年分ある 月刊誌 今こそ発動 速読術
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まわりにはやさしさあふれる なにゆえに 背中のすみっこ寂しさにじむ
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歌詠むはぜいたくびょうです時そそぐ うたを薬に孤独をつむぐ
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辰年にハクの姿を折り重ね千と千尋の神隠し観る
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お正月きのベッドが多くって 何だか嬉しく仕事もらくちん
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でぃすこーど 友達集うチャンネル見つめ 嫉妬と寂しさ 酒で呑む
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無防備な 寝顔は実によろしいが 忘れないで、ここ私の家
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一文字の 打ち間違いで 変容す 葉物野菜が薬物野菜
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リハビリで 感覚戻り笑顔咲く まったり行こうや仕事始め
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あっためると気持ちがあふれてしまうので ミルクを半分カップに注ぐ
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夜の駅 早く君に会いたくてヒール鳴らして走って帰る
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遠景えんけいかすむ細道 歩いたら 春風の匂いに はさみうち
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好きな人 聞かれても言わなくていい サクラ咲くまで 君を待つから
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飛び散ったサンキャッチャーの虹の粒午睡の夫の手首にとまる
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ハンカクニ カキカエタッテ イチオンデ 心の声は圧縮できず
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