ありきたりな初恋だって春の味 今日の天気は曇りのち晴れ
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風はまだ冷たいけれど少し前を行くあなたの背中は春だ
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本当か 嘘かわからぬ 発言を 鵜呑みにしてる 初心な老人
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烏羽玉の夜の岸辺に白雲の筏離れゆく春の瀞淵とろふち
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「終止符を打つ」てふ譬喩よ終はりにも終はりを示す何らかが在る
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属人性で積み上げられた塔の上で屠殺業を営む
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量産型アンドロイドが責める夜 「こんなことしかできないのですか?」
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日本酒を四合しごうも呑んで大いびきかいて寝ている私の太陽
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まぶたの奥の硝子扉を封鎖して深い深い泥の底で手を繋ぐ
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うつくしいあくびとうつくしくはないまばたきをするひとをあいした
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世界中に慈雨は注いで動かない観覧車なども野生に還る
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花ならば争いながら咲けばよい (けれど)ヒトは、(もしもあなたが)ヒトなら
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愛された子供のように花は降り水面をうすももいろに鍍金めっきする
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球場で作家はゲラを抱きかかえサヨナラヒットに背筋を伸ばす
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煙突の掃除夫たちが粉雪の中煤まみれの手でつまむピザ
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この花はだれかを忘れてしまうとき咲くのでしょうか、あまりにも赤・
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春の朝会社に向かう電チャリのヘタッたバッテリちょっと元気に
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もしあたしが 先に旅立っちゃったらさ そのタバコ 一本だけ分けて
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うばたまの夢幻の君がため から揚げ練ず七つどきかな
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からふるな火薬が照らす君の目に呼吸の難しさを知る夏の夜
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冷蔵庫の奥に芽吹く大蒜の(別にヒトとてこれを嗤へぬ)
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ロックともポップスともつかぬ歌を流してる ? いや、流されている
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憧れのあの娘と同じシャンプーだ 知って我かえる彼女一人っ子
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指切りをしよう約束破れても君の小指に触れた本当
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強くなる日差しに未来は透かされて 生きてもいいよ死んでもいいよ
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陽だまりに浸かりすぎたと猫がやや春の死角でひと休みする
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装丁に惹かれた本を紐解いてゆくよう君を知るこの日々は
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最初から分かってたはず だけど君の姿が今は目に痛くてさ
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惜春に 春の彼へのルンルン気分を 詫び状の隙間に記す
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既に結論は出ているタイプの愚痴を肴に干す三缶目
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