石鹸の泡立ちのごとき春の日に捕まえてくれ 万引き犯より
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光すら壊れるほどの激しさで音無く嘘は踊り続ける
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真夜中の部屋は世界から隔離され私以外のすべてが仮想
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聴診器 冷たさに慄くおののく 心臓の 凍ってゆく音は聴こえますか?
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ガラパゴス携帯のようになりたくて 今日から始めたV字腹筋
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イヤーカフ歩道橋から落としたの 郊外にだって星はふります
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じゃむじゃむの雨の日は甘いケーキ食べパリパリ笑う銀紙の淵
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水族館 好奇心製のガラスには ポセイドンすら囚われている
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現実は 夢を百倍 詰めたより 濃厚なりや 絶妙なりや
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桃花源にもエデンにも棲み得ざりし人らの裔なれば、さもあらむ
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暗号のような 地べたのフリスクが 他人のSOSな気がして
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〝こんにちは〞 愛することはできんけど 子守唄なら唄ってあげる
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この世では俺のものにはならぬ人のPontaカード盗んだ四月
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恐竜の背骨を撫ぜた青い目で未来を刺せる君は正しい
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退屈がアイスみたいに溶けだして顎へと垂れるまぶたを閉じる
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年月の括りはみんな同じだが 言葉文化は多様な世界
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人のいふ幸を幸とは思ひ得ぬ人として浴び行く春の雨
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重ねた手、夜空の花と飛ぶ記憶 囲炉裏、熱、瑠璃、木々、蝉時雨
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土筆たちの頭を見たら カラオケに行きたくなるのが僕の性
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「わたしたち呪われてるの。なぜならば…」狐が憑いた少女らは嘯くうそぶく
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ぼくたちは生きてること以外 完璧だった あの博物館の展示品みたいに
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柔らかな儚いものに触れるかのごとくあなたと向かい合いたい
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人間のタスクせっせと片づける 昨日の私、感謝してよね
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宝石展 原石見つけた採掘者 あの顔まるであの時の私
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吊革に頼る拙いステップに 項垂れる客 席を立つ客
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「月をくれ」 指差し背伸びし腕伸ばす 幼子のが 月影虜囚す
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空腹を抱えベッドに沈みこむ 二拍手くらいは出来るのですが
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春の空は泣いている 心は春雨のように泣いている 今の私と同じように
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人生に 夢があったら 叶えよう それが人生 それが男よ
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研究者 誇り捨てたら ただの人 物真似をして 楽しいものか
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