傘の上に降る雨は地に落ちるさだめ知らぬがごとく放射状に遁走する
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差す傘に重さを感じるほどの雨涙うるい 赤血球を欠いて透明
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廂から雪が落ちるたび小屋の中で小刻みに鳴きながら歩き回る鶏
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七人の小人がやおら割る薪の乾いた響きが冬晴れを衝く
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塩を撒きいまはもう亡い人の靴に触れて離してそっと揃える
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匿名のあなたとわたしが弁護士を通じて生身のきみとぼくになる
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おかしいな 鞄に鉛は入れないし 肺が小さくなるわけないし
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下ばかり見ながら歩いていますから 道端のゴミやけに目に付く
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とうきびに囓りつく僕の口元はまるで天才ピアニストのよう
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生憎と核爆弾の一つ二つでは滅びないほどヒトはいる
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広角で映りの悪い君を見てこんなに近くにいれる幸せ
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それなりに失い勝ち取った夜でも君は健気に靴揃えるね
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冬物の制服をクリーニング出す次着る僕はどんな僕だろう
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朧月よ 雲から見え隠れしてしまえ 私の恋心があなたに 少しくらいは分かるみたいに
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春月夜はまどろみの中 あかときの部屋に入り込む
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春の雲はポカポカ軽い 今の想いのす 私みたいに 
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「景観を損ないますのでこの場所に意味を置かないでください」・
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錆ネジにそっとオイルをさすようなことしかできぬ君への想い
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捨てようとすれば突然インク出るこのボールペン君のようだよ
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優怖変狂人みかけなんて パズルのほんの ひとピース 他人ひとが勝手に 積み上げる虚像
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ほんの少し 優しくしただけで 膨れ上がる 優しいレッテル 素とのギャップ
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地下鉄が連れ立つ道の奥の奥 奥の奥々 奥々の奥
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四月馬鹿、騙ると思えば五月には 一世の哀れを一夜に語り
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包丁があと6センチ長ければ無くしてしまえた命があった
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愛されず ひどい扱い 受けるとも いじけないこと 野に咲く桜
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人間を 信じられなく なったなら 闇が覆いて 一人怯える
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信じれば 奇跡も起こる この世なら 疑うよりは 信じてみよう
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ぞんざいに 扱われても 馴れっこで 仕方ないよな あきらめがつく
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想い馳せペンを握りて返事書く 未だに好きを書けぬままの夜
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果報さえ寝て待つ奴ら集めてさ、市民プールにイグアナ放つ?
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