「さようなら」上手く言えない子どもらの「また明日」って生な約束
1
「ほんとうの愛とであえば分かるわよ」あなたはほんとに分かっているの?
0
風も木も自然はすべて感情の器になった詩人の瞳には
3
つまさきからはじめて海を知るきみの港になりたくて手をつなぐ
4
瓶に挿す名もない花がこの町で最初に看取る生き物になる
37
部屋の片隅の 埃のような 言葉なんて いつだって無力な ものでしかない
1
1999年 世界はお祭り 騒ぎだった 結局何も 変わらなかった
2
誰も行かない 屋上へ続く ゲートは 閉ざされてるけど 上るしかない
1
雨の日に何もしたくなくなるのは、やる気が水に溶けやすいから
7
くたびれた日だけど床に脱ぎ捨てたズボンは明日へ駈けたがってる
4
灼かれてもかまわないってねえきみの幸いがぼくの幸いなのに
2
花束を手繰たぐ、幸せはここにある ライラックはあおあざやかな藍
0
貴婦人も汽車も艦にも触れるとき白手袋を着けるが嗜み
2
首都高を独り占めして歩きたい 終末時計はもう午前2
9
六畳間 フローリングに敷布団 世界の果ての見慣れた景色
2
五月晴れには程遠い散歩道つつじの色に慰むる昼
0
大根を皮ごと削り直で食む 独居の喜び生野菜
0
「永遠が今夜この町に来ますのですべての窓を開けてください…」・
8
ニュースには茶を摘む人ら新緑グリーンをこぼさず集め八十八夜ファーストフラッシュ
6
誰も居ぬ茶畑にも日燦々と降り注ぐ昼八十八夜
8
まぶしさに臆せず買えばよかったな ミッドサマーみたいなワンピース
1
春を告ぐ 気持ち隠して春を告ぐ 「いける気がした」 それは悪だよ
2
午前五時壁に光がカーテンの形になって、ただ揺れるだけ
0
これだけはずっと忘れないで欲しい「生まれてきてくれてありがとう」
0
東風そよぎ 夜空の幕が揺れる度眠り誘うは 蛙の調
3
「まだ話そう」そういうきみを置いていく 名残惜しさが増えるだけだから
0
午前二時 下品なラジオネームにもいたんだろうな初恋の人
17
「それ嘘でしょ、でも素敵な嘘ね」 去り際 忘れられない彼女の笑顔
0
ただ生きていくことだけでつらいのに 君を愛するだなんて、とても
2
「パスタの味で一番好きなのはなあに?」「ジェノベーゼ」即答する5歳児
0