おばからも願いを込めて千歳飴 赤い着物に満面の笑み
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行く秋の山里人やま・さと・ひとに跡残しホットココアに沈み込む夜
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初雪は十一月の二十日頃ほぼ降っていた何年か前
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やる時期にやっとかないと落ち着かぬ降らぬようでもタイヤ替えよう
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パパをおとんと初めて呼んだ日 竹と筍の境目を知る
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あなたの振り上げた拳が熱いこと 僕とあの花しか知らない
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買い物は登山の様相 だらだら坂 長ネギ飛び出たリュック背負って
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これからの一ヶ月間日の入りがほぼ四時半だテキパキ動け
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マヨ付きのカップ焼きそばうまいけど焼いてはないとお湯を捨てきる
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旅先に振り分けられし四人部屋波長揃いて笑い声立つ
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泣かなくなったことを進化と人は呼ぶ 僕は退化と思うのだけど
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冷えますね 明日のつもりだったけど 今日ホットワインの支度をしよう
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カーテンの陰から覗く シャッターチャンス その姿まさに「チビ猫は見た!」
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どれにしよ「天の神様の言う通り」それでも迷い「なのなのな」つき
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晩秋の 外の空気は 十度切り 缶コーヒーが 懐炉となりぬ
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ミスドにて爆睡してる女性ひとを見る 前向きに疲れているのかと
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ゆで卵待ちながら短歌うたを見ていたら 何分茹でたかわからなくなり
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やがてまた 曇り空暗く 降りかけて 秋雨の舌に 今朝も冷たく
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秋の風みたいにあなたを気づかせたい。小説も頭に入らず
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休日のおやつにほおばる柿の種(味の追求・大柿) わたしはこれが大好きなのよ
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バドジズ デジドダ 詠みにくい バドジズ字足らず デジドダ字余り / ラッパと娘
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失恋で痩せたあの頃うぶだった今じゃヤケ食いますます太る
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越えようと乗りたる落葉傾きて驚く蟻が逃げて行きたり
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「太陽がいつぱい」なるか全身の力を抜きて亀の浮かべる
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鳴り続く電話に出れば直ぐきれぬ多分詐欺かと思ひて不快
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おりおりに ふちょうあらわる このからだ きょうはいとしい 自己愛マジか
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茶碗が欠けたので新しく買ったが古いのはまだ捨てられない
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短歌誌を見る いい大人なんだから女生徒みたいな歌はやめとけ
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車道の散り敷いた枯葉がタイヤに轢かれるたびにガサガサと鳴る
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秘密です 君の愛する我の髪が中国産のウィッグなのは
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