痛いのは飛んでくもんだ歩けずにテニスボールを回す足裏
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痩せすぎて「増やしなさい」は優しくてデブに「痩せて」はとても厳しい
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きらめいた瞳の形まんまるであなたの好きなパンケーキみたい
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この生の辻褄合わせを求めれば 善と悪とは有耶無耶すぎて
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目を閉じてこのまま朝が来なくとも 冷たい頬は冷たいままで
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手荷物を持ちかえて差し伸べられた指先をつつみ込んでお別れ
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言いかけた「ずっと一緒」のずっとって 永遠なのかなやっぱり無理かも
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一日じゅう昼の香りがただよって生きていられる気がしたよ、春
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遠くからでも分かるひと太陽は遠くにあってこそあたたかい
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冷たいが先に来ていた町を出て知った底冷え、ゲームスタート。
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梅の花やっと咲かせた老木を労うようにホトケノザ咲く
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ねぇ君と食べたあの日のクレープの重たさだけが手の中にいる
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タカトシのタカが着ているライオンちゃん キティちゃんより好きかもしれない
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夕飯は私の好きなものばかり受験前夜の母の励まし/題『前』
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オリオンがこんな時間に高くいて春はもうすぐ春はもうすぐ/題『春』
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腰痛の妻に付き添う通院の帰り付き添い交代になり
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ストーブと 涙で揺れる 卒業生  夢のひととき まだ冷める覚めるなよ
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寒空に丸まる君の背中には 春の日向が隠されている
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「ゆ」の文字が 50の中で 1番好き 君の一文字 心を泳ぐ
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しんどくて誰にも言えぬと言うのなら 鬱々短歌わりといいのに
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黒豆茶花粉症にもいいらしいいや効いているそう思い込む
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「おはよう」で昨夜のケンカを強制終了します修理はしない
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街と海つなぐ七色なないろのアーチかな 小雨の神戸 青空に虹
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啓蟄を知りて出でくる虫らしい夫はすかさずテイッシュでギュッ
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ひさかたに君の消息聞く午後は少しの道も遠廻りせん
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寒くって春がきたとは思えない春の花粉は鼻にきている
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切れかけた街灯の下またたいている十五年分の感情
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きのこ傘雨に弾かれ艶を増す誰も知らない朝のはじまり
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石突を見つめて傘をきつく巻く 絞めたい首でもあるのだろうか
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 か彼の想い重く重く 地の底までと重く想いし
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