四月には大したお礼もできぬまま迎える五月に戸惑っている
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トランプが 出す政策は 予測不能 日が西から出て 方角迷子に
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鬱だとか躁だとかってそれすらもニンニク臭いペペロンチーノ
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一聞いて十知る人の愚かしや 六、七あたりで立ち止まる人
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人生で 後悔してる 歯のことだ インプラントに 700万円使う
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当たり前を当たり前に難しい 犬が西むきゃ 尾は東向く
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金金で 欲望の沼 狂いだす 気がついた時 刑務所暮らし
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県道を走る車がよく見える空き家二軒が更地になって
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秒針が息を吹き返す明け方に生まれたきみを孤独と名付ける
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鈍色にびいろの空 西を見上げれば月 新月の翌夜よくやの 帰路の坂
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ボケでなし。 ただ無知無明の 現れか 子供時代は 戦中戦後 / 昭和の日
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読み終へし「北越雪譜」を手に置けば 近世びととの知的交感
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もの忘れ「錯誤行為」の代表例 そは意識下の望むことやも
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紙が無い。今日提出の 紙が無い。短歌しか詠めぬ、急行列車。|『お手上げ』
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限定のベーグル 君の「おいしい」が聞きたくてひとつ追加注文
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青白黄寝ぼけ眼に鮮やかな放棄畑に植えられた花
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風に揺れ杏色のか弱げにナガミヒナゲシ誘惑の花 / 毒含むらし
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はっきりと見たわけでない後ろ姿きょう一日ながめくらさむ
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川渡る 腹に風入れ鯉のぼり 水に着くごとワイヤーしなりて
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どうか雨を降らせてほしい春雨に濡れ衣着せて君をとどめむ
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肌寒き花ちらしの雨にも頼もしきオイルヒーターの青白き炎
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菜園の 背中丸めて草を取る 老いたるきみ亡母ははに似て来をり 
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心臓の生きる証の拍動は 夢を見るのを許さないのだ
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いつもより二倍の睡眠薬を飲む「ほんとはだめなんだ」じゃないんだよ
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家族みな、健康に生きる事すら許されぬなら 希望とは何
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娯楽すら不快蔓延はびこり嫌になり すがれるものはなくなっていた
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平成に生まれたぼくが昭和へと馳せた思いの中に空洞
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連休はどこにも行かない『行けない』か︙。生活保護してもらう身の上
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西暦を元号にして母が生む平行世界「昭和100年」
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ピカピカと 光り輝く ランドセル 未来輝く 背負う子に似て
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