膝痛に歩くに難儀そろそろと公園行けば鳩が寄り来る
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ぎっしりと並んですするラーメンの湯気立ち込める博多の屋台
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いるだけでただいるだけで価値のある花の如くに我はなりたし
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とけてゆく 春に近づく雪だから 少しずつ少しずつさよなら
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靴箱の中 三月みつき経ち 雨靴の 出番を迎え 冷雨れいうを歩む
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校庭に 薄くかかった 白絨毯 踊り描くは 鳥の足跡
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あとすこし手をあげるのが早ければきみと毎朝えさやりできた
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ピーばかり食べるあの子に落花生買ってあげたら違うと言われ
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夜半から降り出した雪ほの白く 弥生の朝の冷え込みは冬
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OSのLINUX LITEとふ名に惹かれマニアの吾が虫また騒ぎ出づ
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線香を たてる習いは なけれども 毎日ともす 我がの前に
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銀世界もっと眺めていたいから 春よ来ないであと少しだけ
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どうしても眠りたくないひたすらに集めた髪を測り束ねる
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冴えかえる桃の節句に雪舞えば言の葉凍えとこに潜りぬ
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先輩の 愛妻家話 聞いている 穴の空いてる 靴下見ながら
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幼少に祖母と過ごした春の日がふと蘇るセビアの色にて
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みぞれ雪 寒の戻りに凍へをり 弥生来たりて春遠からじ 
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正面に浴びた悪意にひっぱられ眠れぬ夜に奪われる熱
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下駄箱に またローヒール 増えている 俺の靴ひとつ 下駄箱の外
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世界から消えてなくなる夢を見た 朝の光に血脈を透く
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二人だと優しいけれど三人を超えるとノリがきつくなるやつ
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いつの日も恋をしていたそうすればこの世にいてもいいと思えた
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祭にも行かずにひとり本を読む青春もまあ悪くなかった
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徒然と天井の模様見つめては そこに明日を探しているのだ
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勘違い てっきり春も すぐそこに あれよあれよと 冬逆戻り
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「娘はね自閉症です」父の目は過去から先まで見通している
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上着脱ぎ春を求めて偕楽園 小梅の香りに頬も綻ぶ
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「同じです!娘もそれを下げてます」ヘルプマークに出逢う父親
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通院の ついでに見える梅の花 近づくことも出来ぬ川向う
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片親で 娘三人育てたが 後悔すること口に出すまじ
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