ストーブの 灯油なくなり もういいか なんて束の間 泣きの一回
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何もかもうまくいかない日の最後 とどめの一撃 そういう日もある
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間違えて飲んじゃいそうなレモネード香のお風呂鼻まで浸かり
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春雨に濡れ滴って青合羽我も一つの小川となりて
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寒空のビール祭りは震えても一緒に呑めば楽しいふたり
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死にますとあいしているを平等の温度でこぼす憎き我が舌
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白鳥が空を翔ける夢を見て仕掛ける泥臭さに微笑む
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君が為ふんわりラップでレンチンをしてあげるから残れ思ひ出
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言い訳に新月の闇を使えども 涙隠せぬ空の悲哀は
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愛をして歯ぎしりをしているのです 青黒き血のにじみいるまで
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何十年昔に受けた模擬試験その名を目にしふと思い出す
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かたぐちの視線の先にいないこと もういないこと じっと手を見る
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留守をしているからいれて不在票 このさき二度とすれ違わない
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バイパスの潰れた軍手たちが見るROUND1での決闘の夢
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蓮の花生けておくれよ吾の墓に 蕾開くまで君は生きてくれ
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あめのひ雨の日も ちま猫ちゃんは あまえんぼ おひざフミフミ いっぱいフミフミ
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カランコロン チクタク トクトク コツコツコツ 今日も喫茶室心地良い音色
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お財布にしまったチョコは 明日への自分に贈る小さな褒美
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北辰に 騒ぐ同期は スマホ越し 我ら高みの 見物なりけり
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幸せで散らかった部屋に春風 午睡見ながら麦茶を呷る
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ひたすらに 吸って吐いては 時が過ぎ 生きていながら 享受する死よ
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人間に意味など無いと思い飽く 手頃な教祖になってみようか
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でたらめな 音を響かす 即興の オーケストラに 耳震わせる
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雨の夜 街灯の下 道走る コンクリートに 降る幾星霜
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一昨日の夜に送りしメッセージ 付かぬ既読の余白見つめる
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葬式用プレイリスト垂れ流す生まれて四半世紀が経った
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冷静に 大事なことを 忘れない 他人にとやかく 言われようとも
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猛烈に 嵐のように 働けば 自己満足で ぐっすり眠れ
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適当な単語を合わせりゃ情感か? 空に浮かんだ私の臓物
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其々が 自分勝手な やり方を 続ける限り 緊張続く
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