白鷺しらさぎ蜻蛉とんぼ番井つがいで飛び去りぬ 我は独りで歩む秋空
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歳かさね 人に助けて もらうこと 恥ずかしくない 恥ずかしくない
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空振りが 安堵与える こともある 避難情報 早めの行動
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氷山に トロリ日本酒 注ぎこみ とける音色で 暑さ蹴散らす
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夜裂いて天から地に落つ束ひとつ稲はごそめきつまを迎える
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百四十字の声が入る封筒ありふれた真白のテキストボックスに 写真一葉今日の昼食のみ添え送る天邪鬼だから「さえずれ」と言われても鳴かず飛ばずで過ごしています
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「あいつ今何してるの」と訊く彼に事実を言うか いや止めとくか
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水色に光るボタンに指を乗せ140字を送り出す日々
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ふぅっと吐息を離してそそとつく唇に熱々ブレンドを
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極めたき道はあまりに限りなく 残されし時あまりにわずか
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ゴロゴロゴロ配達員か雷鳴か聞き分けつかぬ夏のゆふぐれ
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カラオケに行ったことすらないぼくにでかいバッタがぶつかってくる
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頭からくわれてみたいワニとかにそして胃の中で結婚する
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どろどろど(肉が溶けゆく)ろどろどろ 液状でも愛してくれる?
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美しい短歌を壊す仕事です 余分な文字を注ぎこむだけ
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秋夜空、雨粒流る機窓から何光年もの天体を知る
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ほんとうはだれがあの子を殺したの?「それはわたし」と鏡がうたう
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ひとの手はなにかを隠すために在る例えばわたしのこんな気持ち
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段登る 見えない鳥居 後ろすら振り返れずに抜かされていく
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地を見つめ 血まみれナイフ離せない 空の青さが嘲笑う日よ
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欠点を一つ二つと数えても 月は二十九日は欠けている
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日常の酷く陳腐な言葉さえ 5日ぶりなら心に染みる
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薄明に憎悪ばかりが立ちあがりうみのはごろもはしづかにゆれる
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体温計こめかみに当てルーレット 「36℃」まだまだ死ねない
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気づいたね 影が延びきる その前に 一瞬で永遠を手にいれる
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青空は青にとどかぬ青なれどわれを残してひろがるばかり
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ぼくたちは秋に生まれた 干し草に仰向けなれば懐かしい空
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納得のいくこたえだけ求めては宇宙の終わりも首を振らない
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カレンダー残り四枚病院で眠る祖父の細い手を思う
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飽きるまで 落ち込んだから 大丈夫 髪も切ったし 次に進もう
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