申し訳御座いません、と項垂れて パチン爪切る君はしたたか
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イチジクの柔い果実を割り開く 貝殻の爪は同じ濃紅こきべに
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吊り革を指先だけでつかむ君 その揺れさえも真似してたくて
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強がりは相手ばかりを知りたがり自分ばかりを隠してばかり
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蝋燭の火を手のひらで守るよう君の名を呼ぶ「おやすみ」のあと
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試さない何通りかの気晴らしを考えて気晴らしをしている
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制約の内こそ自由パラドクス 自由を叫ぶ 我ナマケモノ
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死の怖さ言葉に変えて処理してるなんつーかその、めっちゃこわいよ
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ブローチのようにトンボがとまってて嗚呼これはもう秋の来襲
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何気ない言葉を拾い磨き上げ 河原で石を拾う子に似て
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報復の報復が生む負の連鎖 出口は見えずスモールワールド
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窓辺にて煙草燻らす老人の見つめる先の狩猟月ハンターズムーン
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長距離の筋肉痛は顎に来る 眠気覚ましのスルメとガムで
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完璧にできないときの言い訳として放たれる“完璧主義者”
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苦しみは繰り返すものと知りながら初めてみたいな声で泣く海
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この歌がいつか月まで届くよう いつか貴方の心を撃つまで
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生むまではお前の自由であり、それをどう思うかは奴の自由だ
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欠け落ちたこころの形を補完する言葉を紙の上に探して
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百万語 愛の物語読むよりも たった一秒きみにふれたい
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見すぼらしい衣服を選ばす そのせいにしたいと思う醜貌しゅうぼう恐怖が
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線香の煙が沁みただけなのに いい娘だと涙をさそう
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土砂降りに 傘もささずに 歩けども 世界の終わりは 来るわけもなく
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「分かるならちゃんと分かれよ」そう言ってあの人は星空をバイクで・
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赤ん坊 なぜ泣く 俺は考えた 自分の無力が悲しくて泣く
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独り者 小用時にもまず座る こぼした時は自分で掃除
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五千円 貧乏才女をなぜ選ぶ 田中角栄にしてほしいな
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てんこもり 帽子を三つ重ねてる マリー王妃のような婆さん
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遠吠えのようなバイクの音だから夕焼け小焼けの道の侘しさ
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「うちのこ」は 犬か猫か人間か 話し聞いてもとんと分からん
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学び舎で過ごした記憶それぞれが違うのが妙絶対時間
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