傘重く 雪の交差点 それぞれの 孤独が無口で 渡りおり
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ため息の数だけ逃げた倖せもどこかに吹き溜まっていてくれ
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いろいろと思い描いていた中でいちばんすごい世界の終わり
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自己愛を育んできたどうせモノ、モノだって眼に見守られつつ
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もがくのは嫌だと君が言うのなら 僕は錘になってやれるよ
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春先の用向き済んで初午も済んで気にする梅のほころ
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平凡な朝の終わりを決めたから 窓をぴたりと閉めて出てゆく
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ゴミ出しと短歌で作る春寒の連休明けの生活リズム
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真剣な眼光手には爪楊枝粘土遊びは職人を生む
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あだ終わり 休日なげ打ち やりし事 何故に気づかぬ 我が愚かさよ
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女子会で 今の子みんな美形だと 昭和の普通が口々に言ふ
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北風に向かいて受験不安みつ 談笑しつつお守り握る
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雪化粧溶けてまだらの里山は 真白き富士の嶺うっとりみいる
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金運のご利益ありと言うけれど お守り高くて買えそうもない
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始発🚃🈵、おしゃべりは、外国方の現地言葉、さっぱりわからない
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バァバァも 別人格と きづいてて ひだりてにぎって 「止めようとしたの」
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まだらぼけ はいかいするは むくちな いたずらずきで まるで二重人格者
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顧みて不言実行を決意してももとるばかりの人生なりき
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かろやかに 湯を注ぎつつ 口ずさむ きみの歌声 香る珈琲
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あなたにも知られないまま溶けてった雪の墓ならここにあるから
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雪の夜にわたしの弱さが溶けていくつま先だけがまだ温かい
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ひとつかぁ 服だけが…いや この「穴」の 失くしたものを 忘れる魔法
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二人称としての「私」ということをふと思ったが、それだけである
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歌でまであなたと呼びたい人のいるあなたを不思議な人だと思う
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陽だまりで苺のチョコを食べようよ  春の先取り楽しいかもよ
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ふと未だ残っているやな記憶 全部臭いから蓋して忘れよ
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日本語の独り言では「私」という主語はほとんど消え去るらしい
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目標を 決めて迎えた はずなのに 2月なかば これから本気ほんき
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作中の「私」と「あなた」の虚構度の比率が暗示している何か
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忘れてと私のごはんはそう言って、寝るきみといるパーキングロット
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