持てあます大好きだけをまっすぐに伝えるすべをきみは知らない
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目に痛い赤はいつだって気まぐれ 背中を染めたり足を取ったり
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幼子が小声で歌う鼻歌を 聞いてまたたく冬の星々
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若い頃老け顔だったあの人が一番変わらず大逆転の今
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落ち葉きじゃれついてくる子猫見て ホッコリとする木枯こがらしの朝
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兄弟で怒られるのは私だけ なぜだかさんまが食べたくなった
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何ゆえに 同級生も 会えざるに えにし切れしを 悟るる初冬
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二十年 渋谷で遊び 時は過ぎ 街は変わりし 淋しきの冬
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地球儀のように世界を縮めれば きっと二人で回る惑星
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枯れ松のように無欲でいられたら 葉桜の君を願わないのに
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龍はシルエットか顔アップにするか色は?文字は?の十二年目を
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ベッタラよ こがれてつけし老いふたり 十キロのダイコンふらつきつつも
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幼き日息子達キミらはたくさん旅したよ 「覚えてないよ」とひと言、かな
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「お疲れのようだね」なんて誰か言う 疲れることに疲れる師走
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片付け本星の数ほどあるけれど いつもの部屋に見せてる素顔
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今年こそ 何かしようと 十二月じゅうにがつ ここまでくれば 全部来年ぜんぶらいねん
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イチョウの葉キラメキ落ちて静止する畑に広がる冬眠のケット
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あちこちで紅葉はゆれていろ放つ 細くなる陽の代わり務めて
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秋スタンプ さすがに師走使えなく 冬の新作焦って探す
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ちま猫の甘え声聞き ひとやすみ 帰ってきたよ おかあちゃんだよ
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去年まで使った飾りが見つからず裸のままで立ってるツリー
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いろあせてペアーのこけしおもい秘め はなれてさびしひとつずつ待つ日
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「馬鹿だから分かんねえや」と言ったけど、そんな話をしたくないだけ
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消火栓 使い方など 知らなかた ホースしまうも 訓練のうち
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スマホにて新刊いちおうチェックしつつ わが猫のオヤツ気になり急く帰途
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子に隠れキャラメル食べて見つかって とっさにでまかせ「喉のお薬」
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冬の朝吐き出す息は白けども 君のほっぺはあかあか燃ゆる
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断捨離は「まだ使える」が口癖の夫居ぬ間に情け容赦無く
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ひと月の過ぎたるを矢のはやさだと喩うは多事も怠惰も同じ
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永遠を求めたところで叶わぬとおのれのさがを知ってのことです
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