かなしみに寄り添うやさしいスパイスを踏み外さないために読む本
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ドア一枚 廊下ヒンヤリ寒いこと ねこはうろうろ あんよ冷えるよ
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リメイクの作務衣友より贈られてピッタリ身体に添い少し悔しい
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二百年先であなたと待ち合わせ わたしの目だけ覚えていてね
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「スペイン産イワシの酢漬け」の美味しくて「箸が欲しい」を呑込んでいる/初めてのスペイン料理店で
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楽しいと思う遊びはどれこれも 疲れ果てるが 気分は晴れる
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雲を食むただ星空を見せたくて君が言ってたひかりの空を
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日常に戻って泡沫うたかたのぞいたら しばし私は浦島太郎
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ほかでもない君が教えてくれたからあの映画だけ一生観れない
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出汁しみてほかほかの夜じんわりとからだじゅうおでんになっちゃうね
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練り物もお肉も米も粉物もお腹にたまってえらいねえ
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存在感 あるやなしや 水際で 突如出現 鍋肌のわかめ
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あたらしき季節のためにスカートをあたらしくした 鏡の前で
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親子でも 説いて信念 変えられず さぬ仲なら 推して知るべし
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ギッチャリの意味がみんなに通るほど治安の悪い街に棲んでた
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白色のはんぺんなんかしゅわしゅわで何枚だって飲めちゃうねこりゃ
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圧強し この春風に 負けぬよう 歩を進めれば 陽射しあふれて
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かすみしく 春さりればごもりの むし地上ぢのへかしらいださむ
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シェリル妖精の 歌を聴くたび ツラくなる 君が隣にいた日のことを
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もう少し春めく前に花を見よう 枝葉と蕾も愛してみよう
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少女をとめらに 行逢ゆきあふ先の玉鉾たまほこの 道のすがらに つづの花
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靴下を 履かないままで 足先を こたつの先客 もふもふに埋め
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およすけし え少女をとめまぼり渡りつつ さきはひねがひひひなかざらむ
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バースデーにメールをくれたあの人の 特別な日をわたしは知らぬ
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ユーミンの色遣いとは違うけど 自分は自分の色に染めてた
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三日目の鍋のおでんの大根に 甘えてしまう微熱のわたし
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特急の車窓に流る風景に 思い巡らすこたつの中で
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美しき心でありたい明日までは 自分以外の人を祈る日
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京都には背筋を伸ばす思い出と 受け入れられない温情がある
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おかあちゃんのねてるおへやで ちっちする ちま猫ちゃんの げんきな「ちーー」よ
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