春まぢか 芽吹く力を 蓄えて 桜樹雄々し 吾に語りし 
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父母に 作りし白出汁素うどんを 昼餉に食す やっぱうめぇわ
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幾年も陽の目を見ずの十五体今年もひいなの日の巡りきて
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雛節句おせっくの 色満載の 切り花を 供えて春を 招く仏前
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幼き日 友に習いし 手遊びを ふと思い出す 三月三日/三月三日の餅つき
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十人は 十色といえど それに合わす 寛容さなど どこにあろうか / (怒)
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次々と「知らない」「秘書が」厚顔に答えるギイン昭和そのもの
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大切なことは ねこから教わった マイペースでいい やり過ごしていい
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窓際に並ぶ我が家の おひニャさま ふたりにゃらんで すまし顔だよ(ニャン)
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春のをくるりと巻いた桜餅春のつぶまとう道明寺かな
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家々を子らが回りて菓子もらう 「雛様見して」夢ある伝統
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味覚ない世界はこんなに色褪せて 白黒だけの場面を生きる
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妹のくれた苺の大福の  春の柔肌セロファン越しの
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苦しみはぼくがあなたに会うための架け橋だから愛してられる
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出張で近くに来たの。 景色だけライン送って待つ「あいにいこうか?」 
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痛い箇所とこないこと祈り起き出すも 痛いが一日頼むよ、身体
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我が孫はおのこばかりと苦笑せし母に供える雛あられかな
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なんか今日前髪キモいな どうしたん?話聞こうか?どこ住み?ラインは?
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人間を命を持った人形と思ってからはちょっぴりと楽。
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言霊が あるのは知ってる それでもね 成仏できない 言葉たちがある
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すっぴんの 眉 非対称 描きながら どちらが私か どちらも私か
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細い風 さざなみ達を 引き連れて 泡沫の夢 波はまぼろし
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あしたからゆうべにかけてひたすらに三十一文字を塗り込めて、はし
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七段の 飾りは母に 重すぎて 手ぶらで座る 男女雛かな
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假初かりそめの さびしき色の冬枯れの 木羣こむらとづほどなくの春
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コクトーの 創りしリング 身につけて これを遺さる 若葉を想う
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中枢を持たないがため永遠をたゆたう君はさびしくないね
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ひとくちを我慢したからひとつだけ未来に淡い信頼を得る
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パターンのなさにこなれてくることも一つのパターンだった早春
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淑やかに絹の香りの漂へる花の御紋の女雛の唐衣からぎぬ
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