生きるとはたいせつにしていたものをどう手放すかなのかもしれぬ
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忘れたい忘れたくない忘れたい頭のなかで千切る花びら
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飲まないと耐えられそうにない夜に思わずオールバックにしてみる
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くしゃみすらし辛くなった世の中は一オクターブ低音になる
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校庭を 眺める先は 想い人 流行りの歌を 口遊くちずさみながら
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ひそやかにマスクの下で咲いている薔薇の口紅だけが尊い
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平面じゃ相合傘の棒は壁 だから僕らは放課後に逢う
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ファンデ越しでしかあえない 0.02ミリより薄いはずなのに
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君のしあわせがわたしのこうふくと言えるほどには幼くもなく
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傷ついた人に優しいだけなんだ 気づいたときには傷ついていた
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「誰呼ぶ?」じゃなくて「誰か呼ぶ?」なんだよ、『別にいいよ』ってどっちなんだ
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終電が発車するまであとわずか 間に合わなくてもいいかな なんてね
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不思議とな、僕らはズレてはまた呼んで。作り笑いはゴミ箱すてて
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耳元で君が囁く「La vie en roseラヴィアンローズ」恥ずかしがりやな君の口癖
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自販機の下を見てみろいくつかの十円の奥に永遠がある
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透明に下がるつららを見つめつつ細くなりゆく自分をおもう
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中継のカメラに目立ちたがり屋のピースのようにへばりつく雪
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あす朝も東から陽が昇ったらいい日になるって決めつけようぜ
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スラダンはメガネ君こそ我が人生 チームのために主役を支え
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健さんに聞いてごらんよ男なら本命よりも義理が大切
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人情が廃れた世にも義理だけはまだ生きてたと知るバレンタイン
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厄落とし称して甘味買って食うそいつが厄だ気づいちまった
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蓋を開け刹那に愛を感じたら僕の心はアイスクリーム
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ファインダーの外で家族が死んだとも知らずにモデルはポーズを決める
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若人の肌の露出徐々に増え行く春を知る都市の街角 
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お互いの得意分野は饒舌で 教え教わりゲーム三昧
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お隣の子どもも連れて公園へ 奥方達はSLAM DUNKスラダンを観に
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休日のこんな時間に仕事ならカツ丼食っても罪当たるまい
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変わりゆく 世の儚さに 日々を生き 三世の轍  残る足跡
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もろ共に滅びかねない原爆も使ふ危険の独裁者をり
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