夏来れば見事に育った菜園の鴬色の枝豆旨し
12
ゴルフして 高原の風爽やかに 猛暑の夏を 暫し忘れをり
10
たらちねのあなたを撫で返せるだけの立派な腕を賜りしこと
9
命燃す蝉の恋歌 吾を坂のその彩のコラージュにする
7
ひとり部屋 鏡の私 上手に何度か笑えたら リビング向かう
10
サンダルを履くのがダサいと言っていた俺がまさか履くなんてな
8
保健では机に伏するピアス君人の心にちょっと安心
5
君と組む ダブルスもはや シングルで 横など見ない われを見るのみ
18
まんいち 使つかえるように そなえるが 使つかわずにむ ことをねがって
16
まだ蝉の声鳴り止まぬやわらかな自分の耳 ていねいに洗う
11
あのイクラ サーモンの子と知った時世界が開くような喜び
8
ずっとある どんなに世界変わろうが こころと手には種があるから
10
誕生日 蝋は要らない本数が人生の濃さと一致しない
6
絵空ごと 未来は自分で撰ぶもの 人は愛から 生まれるのです / 両澤さんありがとうね
8
「セフレって何」うっかり女房に聞いた俺 おじさんにもわかる言葉で詠んでくれ若者
11
じゃんけんのルール忘れた体育館 聞けぬまま過ぎ負ける私は
5
自慢げに 見せびらかして いるけれど その金塊の 前世は金歯
8
あなたにも そのうち分かる 人生の 半分位 おばさんとなる
12
君たちのDNAを無駄にすることはないぞ、とイクラの軍艦
13
パソコンで初めて詠んだうたかたのときめくよりも慣れぬ指先
19
なんてことない内容の連絡を 何度も見てはゆるむ口元
10
パリ五輪 クライミングの 少年は キラキラ輝き 金メダルきんよりまぶしい
18
地震こわい 被災された方 気の毒だ 不安になるからニュースは程々
9
足音で主がわかる毛玉ちゃん さあまんまるのお腹をみせて 
15
ポロンふり ピーリカピリララのびやかに 過ごせているか 忘れ去ったか
5
散髪を終えてコツコツ帰り道 このまま君とすれ違いたい
8
とけてゆく うすだいだいの淡い色 午後二時半のぬくもりがすき
6
壁見つめ ふと滲み出すひとしずく たったひと月恋しいこたつ
4
もしあの日通り雨などなかったら君を愛さず済んだだろうに
16
さよならの数は七百四十五 はらりはらりと長野で散って
4