愛がない君は笑ってそう言っただけど僕には愛だった
6
この部屋を引き払うのがさびしくて無理に荷物を持ち上げる君
4
名前から渾名に変わった僕の人生は 得体の知れないそいつが引き継ぐ
3
ほろほろとこぼれて落ちる思い出を繋ぎ止めんとミモザの水替え
17
もがり明け 魂珠還る 湊葬と 遺せし者の 幸祈りつつ
5
悲しいね昨日は五人死んだのかところで今日の晩飯は何?
6
白髪に負けず劣らぬ輝きを 顔に宿して生きて行けたら
13
水飲みたい水おいしいなぁ祖父が言う 世界一おいしい水飲ませたい
14
玉ねぎをどこまで剥いたらいいのって もう言わないんだね涙出てきた
11
アプリ起動 バーコード読み QR決済 までの遠き道程みちのり/by高齢者
14
ようやくの春の日差しにほだされてIKEAとふ名のDスリーディー迷路/by高齢者
10
悲しみを素直に認める難しさ、大人になりかけようやくわかる
9
曇天に 蕾を巡る 散歩とて 開花を想えば 楽しからずや
9
明晩の飲み会中止とLINE来て全てのヤル気飛んでいく午後
19
ちま猫ちゃん 寝癖寝癖になっちゃうよ おひげ二つ折り あんまりじゃない?(笑)
10
ジャズ流る喫茶店にてカフェ・オ・レを 現実はなひとり旅する
17
お花見に持ってく差し入れ メモを書く 土曜日までに開花はするかな(かろうじて)
11
フィッシュ・アンド・チップス嫌ひ。曇日の牢屋町・縹染の血の警邏
3
東風こちかぜたてがみ揺れて三島江の葦の若葉をあさる春駒
8
癲狂院しづまらず木の鞭撓へり一頭の青年剥き出して肋骨
3
今日という未来を知らず生きていた昨日の自分が無垢で遠くて
14
唸るだけ唸って吸わぬハンディの掃除機ねばれカリカリ一個
14
渋滞で 時速2キロの かたつむり 少しのんびり 進めってことかな
11
真夜中の恋しい声も夢の中朝陽とともに君は消ゆ
7
降らないといいな 傘無く眺む車窓には 菜の花が笑む
10
けがれ水海月なしただよふくににありて稼働炉つぎつぎと廃炉のひかり
3
珈琲の 酸味苦味に 溶かそうか 好きも嫌いも 夢もうつつも
13
「変わり無く」「いつもの薬を」「お大事に」患者を半日程通院日
13
この空が ぬくきひかり 届かせば 哀しきこの世 春来たるかと
3
まだ咲かぬ 蕾もいつか 開こうや 人の心は そうとも限らじ
9