2月では まったくもって 冬ですが 3月、それは それはもう春
6
閏日よ次会うときは今よりも 少し優しくなっているから
15
宣伝を届けるために昼前の五分を校正時間に充てる
3
亡くなりし犬のにほひの残る家 庭の白梅シラウメ今年も咲いて
52
何度でも必ずきみにたどり着く、きみの「つらい」をすべて消すため
12
五月雨さみだれに陽がさすようなうつくしさそれが私にとってのあなた 
7
鈍色にびいろの空へ連なる鉄塔が遠近法を確かめている
10
冬にくし 雪に牽かれて ゆくひとの 重ねて冬は 忘れずなりぬ
7
春の野に出でて 来し方かへりみぬ 昔は冬を惜しまざりしを
7
アパートの屋根から爆音ネコ落下 びびるでヤメテ 肝冷えるねん
7
そーなんだ 刺される覚え あんねんなー? 思わず土下座 あの曲あまぎごえを聴き
4
名をよばひ 天の雨の音 天城越へ 背にし触れなば 絶えよ玉の緒
5
車中泊君と二人雷に鼾高らか尻尾に感謝
2
大好きな言葉が辿る起源さえ 忘れゆく今 それも人生
8
「遺書」という題のデータを削除する最後に開いてから三年
7
採血に備えて明朝あさは絶食だー うっかり忘れてりんごむきそう
11
うたかたに 集いし歌人 今宵また 夜空に向かい 想いを歌え
12
品書きを読む前「餃子頼むか?」と問われ頼む気失せる中華屋
2
門外漢手出しの出来ぬ立ち合いはアキレス腱など伸ばしてみたり
6
どうしても許せない人嫌な人大人気おとなげないがただ無視をする
9
大好きを詰めてリボンをかけておくいつか迷子になった僕へと
14
寝る時がたのしみでありしあわせだから ずっと眠っていたいと思う
9
春待ちのバス停に立つ君の目に 映る黄色の小さな芽吹き
15
寝る前に海馬をトンとノックして「進捗どうですか」と尋ねてみる
5
桃色の 空遠すぎず 手に取れず 君のようだね 西の明星
7
雲一つ なかった僕の 片恋は 暗くても 満天の星空
5
君のこと 振り返らずに あの夏へ 駆けよう 思い出を踏みしめて
3
閏日も ただの一日 味気なし 歳をとりたる 証たるやと
12
虹を見た お前なんかに幸せの舵を握らせたりはしないよ
9
冬に戻り ねこたちベッドで寄り集まり あべかわもちのように重なる
12