ガラガラの電車の座席どっしりと腕組み座るナルシシズム
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プールでは 私は魚 水の中 心の毒素 全て流るる
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もう何も思いたくない感じたくないカーテンを揺らす涼風
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着いたのはファミリーじゃないレストラン 今夜は罠にかかってあげる
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もう二度と行かぬと決めた小児科の診察券は八つ裂きの刑
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集まりの主役の友は三回忌墓前に香煙ゆらゆらのぼる
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ウィスキーボンボンなんかで酔っちゃいそうとか言ってる君が好き
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手に団扇ショートパンツにサンダルで飛び出す娘は打ち上げ花火
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三月のまま止まってるカレンダー これが人間色の生活
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幼き日ポケットに詰めたやさしさが転けたはずみでこぼれ落ちゆく
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風に乗る燕尾の姿を見送って わたし 飛べない、ごめんね、じゃあね
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神様が一撫でしてったような雲 いつまで同じ空を見れるの
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大きなる影に蹴られてつんのめる見あげる空に鷺の悠然
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ほろびゆく星々たちに帆を立てて放浪者らはほろほろと去る
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傘を捨てびしょ濡れだけどお咎めなし今日から私一人の暮らし
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幸福の証のような紅散らすカーネーションに生まれ変わろう
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クッキングパパは無理です段ボールクラフトパパが関の山です
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夏風が棚田横切り雨誘い 早苗弾いて緑つやめく
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前をゆく背の高き人と手を繋ぐ子らは家族の波のゆらめき
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白波のなかでふたりはしんでいた、捨てられてしまったビニールみたいに
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愛すると 愛されるでは比がちがう 反比例する 深まるほどに
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二文字ふたもじでいいのに人は長々と話してなにも伝えられない
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急行と止まらぬ駅に待つ人のような出会いとようなお別れ
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現地にてリーダー拾い呑みに行く 団体戦だ!弱かったけど
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金沢へ男四人の珍道中 昔みたいにはしゃぐおじさん
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行きたいな北海道に 叶わねば北国味噌のラーメン食べる
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ヒトなんて 星の数ほどいるけどさ あなたは一人 一番星だね
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「出会い」って 奇跡と思う でも「別れ」 運命なんて 思いたくない
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似た顔を見つけるたびに涙する 星の数ほど涙流した
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私にもモテ期はあったそれだけど 彼にモテたいモテ期はいらない
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