初デート なになにこれは? どう飲むの? 頬染ほほそめ聞けない ウィンナーコーヒー
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墓石の代わりのようにおごそかにダイワハウスの旗はゆらめく
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いつのまに陽は落ちていて酒場から聞こえ始めるホンキー・トンク
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僕らみな墓標となりて茫洋と菩薩のような盆暮れの海
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見渡せば こたつ・ストーブ・扇風機 冬と夏とが 同居する部屋
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料理時りょうりどき懐メロ流すルーティン 今日はノリノリ 「レベッカ・フレンズ」
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わかり合えないまま共に生きることをわたし達の証明とする
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生きてると笑い声すら恐ろしくヒトとはなにか未だ解らず
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さよならは言うよ一人でいる時も さよならシュレディンガーの恋人
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金曜の 待合室に 響く声 マイキャッツよ 静粛たれ
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バイト先「あっ先生」と声を聞く いつも頼ってくれてありがとう
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千円のキウイのパフェを頬張る日 おねだん以上の幸せを得る
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ひとはよく「急がば回れ」と言われるが スイーツ目当てで急ぐはよろし
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バイト前 遅刻しそうになりながら駆け込む先はフルーツパーラー
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かなわないお願いばかり聞いていた神社の隅の古い街灯
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この風は淡くてうすい紫陽花の水色こえて髪をそよがす
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しなやかでありたいものねとりあえず華奢な僕等はすぐ歪むから
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聖夜ならドレンチェリーがのるケーキ 精一杯贅沢した母
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型紙で作って気付く多面体 サッカーボールは分子の世界
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羨ましギターが弾ける悪友が 浜辺でうたう「島唄」などを
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青竹のように切られたサトウキビ齧っては吸うパンダの如く
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幾重いくえにも重なる偶然で あの夏唯一無二の君を見つけた
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ぜんせでは ここまでだったら いきていた これからさきは しらないみらい
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お得だね炭酸水の湧き水は 金銀のお湯有馬温泉
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さかさまに吊るして春を惜しみけり花のにほひはうつろひやすく
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邂逅はいかなる火花散りにけむ老いたるゲーテと若きベトヴェン
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うしろから目隠しされてふりむけば春の日暮れの荻窪駅前
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削除また削除のすゑにあらはるるりんごの芯のごときたましひ
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おととしの柱の傷ものこりけり姉と妹と測りあひし日
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一羽鳴き二羽が倣ひて三羽和す 夜明けを告ぐる鳥たちのうた
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