他所よそ行きをクレンジングでほどく君 一人の女性ひとが少女にもどる
25
日が昇る 未来を目指し 深呼吸 いただきはすぐ 目の前のみち
4
返しそびれた文庫本のページに込めた吐息は夜にほどける
3
登山靴 数年ぶりに 履いてみて 山の岩場の 懐かしき春
21
可愛らしい看護師さんが測るから献血したのに上がる血圧
10
言い聞かす 金のかからぬ 趣味ないと また会う日まで 樋口一葉
6
ミツバチはイヌノフグリの花びらにしがみつくよに蜜を求めて
12
洗濯機じっと見つめる一歳児 その横顔をじっと見つめる
10
卒業と入学のの春風は、こぶしの白い花を揺らして
43
好きな事誰にも言わず秘めておく 踏みにじられたくないからね
8
春風の ジャガイモ畑で 雑草くさを刈る 芋のためよと 雑草くさに詫びつつ
11
脳内のお花畑に水をやるよくぞここまで持ち直したね
14
ねこたちのアニマルセラピー 癒しパワー ゴロゴロ音は頭痛も軽減
10
わすれじと瞼で写す現世うつしよ夕餉ゆうげの安らぎ幸せのとき
5
飲みたいな 季節限定 缶チューハイ 春の日永に フライングして
7
シューシューと 圧力鍋で 煮るおでん 構わずクークー 寝るを眺む
6
増税の荒波越えてまた越えて どこが岸だか誰も知らない
7
宵闇の 永遠にまばゆく 蛍さえ 短き命 散るあてもなく
3
夕焼けの街の幽かな口笛もゆすりて溶かすエンジンの揺れ
6
任せとけ俺はプロだぞ誰一人生きちゃいないさ俺に撃たれて
7
珍しく電車で帰省の長男からLINE 『ひのとり』すげぇ!と幼な子みたいな /近鉄特急
13
カーテンの向こうにおみみがみえている ちま猫ちゃんは ぬくぬく日なた
12
バス窓を撫でて 今春に枯れる 楠の葉の道 熊本の町
4
娑婆を出で 身一つ臨む 納経の 弘法の杖 何処に導く
7
「押上」と打とうとしたとき予測変換「お幸せに」と出る あの時のにがさ
11
悔しさを 滲ませ語る 君がいて 超頼もしい 味方がいるよ!
7
神獣の角に蕾みし華を喰べ爛漫と咲む被験體γ
3
今日こそは在宅勤務を勝ち取りて 通勤時間はゼロになりけり
2
イライラがどうにもこうにも止められない 物にあたって更に落ち込む
5
床に就き十時間寝て起床する ちくしょう花粉め眠れんかったぞ
4