デパートにスペイン語話者が一人いる 日本語圏のデパートに一人
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何一つ良いところなんてないけれどなめらかなのでゆるしてほしい
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等身大の吐露 真ん中は空洞のまま
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胸のときめきってストレスなんだって。 春に沈むマゾヒズム
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生き急ぐようにつぼみは膨らんで 薄紅色の笑みを覗かせ
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言葉にはならない澱がざわめいた 春の気配の疼く夜には
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なぜ詠むと 詠まない人に 問われても そういうふうに 生まれついたからとしか
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歌を詠む歌にはならぬことばかり しかし歌詠むまた歌を詠む
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小さじ半 ほんのちょっとの エッセンス そういものに 私はなりたい
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君ならば きっとできると 言ってほしい あなたの言葉を 待ってる真夜中
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失敗は素敵な人になる為のドレスコードさ、着飾っていこう
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こいつはダメあいつもダメと 思っている自分が一番気持ち悪い
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暖かい 同じ温度も 涼しくて 言葉変わると 季節が変わる
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百倍の文字量だって読めそうだ 本で出くわす宣伝の紙
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虚無の瀬を渡りて壁に当たりしも光条求め歩み続ける
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私以外に知らせないでね 君の手が案外煙草くさいってこと
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隣街訪えば積雪0と聞き 尺余の雪積む町へと帰る
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耳鳴りを 働き蜂のさざめきを 雲はあなたに語りかけない
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言の葉が 胸に詰まって ヒリヒリと 痛む夜には うたかたが効く
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ひきこもり それでもたまに 人と会い 陽のキャーから 元気をもらう
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鼻水が 止まらないんだ それでもね これは鼻炎と 言い続けるよ
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好きだった 君が結婚 僕は今 心が泣いた でも…おめでとう
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この胸にふたたび灯るほのをのみ抱いて深まる靄に踏み出し
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革靴のかかとに遺る年輪に父の百万時間を見つける
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愛さえも市場原理に晒された地獄の端で君を見つけた
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小さな背 語りきれない 時間のせ 言葉少なに 残すは本音
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ワイパーが時刻む重い沈黙一人娘父の介護へと
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頼ればいい 人には自由に いうけれど 我が身になると 申し訳ない
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ひまわりの笑顔はどこかうつむいて わたしはきみの太陽になれない
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君の手を離すことなどしたくなかった 雪原に落ちたしずくの正体
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