ふと聴いて 電撃走るこの心 恋に等しいヘビーリピート
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ふんわりと湯気の向こうの午后の陽を甘く香らすシナモンの枝
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仲の良いねこ同士のする 毛づくろい かわいい眺めだ 目の保養なり
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革靴のかかとに遺る年輪に見つけし父の百万時間
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木漏れ日の白い部分の真ん中に立つが春に一番近い
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薄膜のようなマスクに守られて鼻の穴やら髭の濃さやら
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文字を編むのは良い事よ  だって己が浅学だと解るから。
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常識がないねと君は言うけれどどこで教えてくれるんですか
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明日から寒くなるからポケットにわたしを入れる覚悟しといて
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春を待つ心地でいたら四畳半のカーテンだるく膨らんでゆく
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木漏れ日の中であなたを見失う春の優しい香りをしてた
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三途河そうずがに吾が両脚は石となり みをつくしなお 五官去らずと
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父母よ もはや孤独もくるしみも ありませぬよな いま春彼岸
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さだめ舟 父母ちちはは腕を櫂として 導きの恩 海より深き
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向上心のないお前は その街の角で幸せになってるよ。きっと
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隣席の嫁姑よめしゅうとらし論争をハラハラと聞く昼のファミレス
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運命に櫂なき舟ぞ人なれど 沈まぬもまた 人の愛しさ
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泣きながら想いでを剥ぎ人は征く 己の山のその頂へ
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まだすこし、すこしあかるい空があり 明日はあなたに会えるでしょうか
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朝起きて淡い日陰を揺蕩ってぬるい風に流されて歩く
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雨降って昨日の温さどこへやら 靴下重ね夕餉の支度
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僕だけが知っていた絵画 春風に連れられていった窓越しのあの子
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難関大に強い予備校でも春にならないひとりぼっちの世界
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ボクサーの視点敗れてチャンピオンから引退に桜吹雪よ
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スマスイは 次の施設とこ高くなったよね 庶民の味方だったんだけど
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途切れなく次々飛び出す昭和歌謡  ジュークボックスと呼ばれた夫は
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花と指輪とフルコース 無益なぼくに生まれてきた意味をください
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天井と壁を見つめる日々という友のメールに胸塞がるる
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買ってきた 一玉まるまる 緑のキャベツ 私のストレス ぶつけさせてくれ
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永遠に成就をしない愛情のもはや放置は許されないと
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