謝意の意を短歌うたで詠むには短すぎ 百字ありてもまだ足りぬやも
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トンボ舞い虫の声にも秋見つけ歩みを止める秋の小径に
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河原では 若者達が 集まりて 芋煮を囲こむ 秋の風物詩
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畦道に 満開に咲く 曼珠沙華 辺り一面 くれないに燃ゆる
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大ぶりの 太ったサンマが 恋しくて 探し回れど 姿が見れず
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このつらき思ひもやがて歌となり はばたいてゆくときを待ちつつ
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ハムづくりが語源とふハムストリングの張りをストレッチしつつ確かむ
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おととしは形もなくて一歳半 いま一族の主役となりぬ
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「あの花の名は何だろう」「何でしょう」、他愛ないけど二人の時間
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不自由な心を閉じ込め肉体は 息をしながら棺桶となる
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頼むから好きなら好きと言ってくれ決して僕には言えないけれど
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一列に八分音符の小鳥たち 夕空浮かぶ ファファファの五線譜
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推しバンド故に白けることがある予定調和のアンコール聞き
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同窓会 毎回同じ顔ぶれで 会いたい人に会えたことなし
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夕暮れに黒田三郎ふと思い はみ出た自分癒すひととき
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曼殊沙華去年の場所に咲いていて 二週遅れは暑さの抗議
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毛糸には魔力があるよ手にしたら君の時間は忘れる時間さ
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今焼いて後を片したそのあとも甘いプリンの香りがしてる
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濃い湿気はらむ空気にむせ返る 瀕死の夏の残り香を吸って
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ゆっくりと口角を上げ撫でてゆく胸に残った親の爪痕
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わかりあう日など来ないよ別々の道を行くんだ金は返すよ
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うまれた日 こんな生き方でよかったと 空に放った花束を想う
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裏庭の声の主たち涼を呼ぶほんのお礼の胡瓜供える
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夜の蜘蛛殺すでないと在りし母言い残し逝く 目の前の蜘蛛
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街路樹の 真下に 黄色の葉が積もる 砂時計のよに 逆さにしたい
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若い頃 君と聴いてた あの曲も 今でも彼は 変わらず歌う 
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目指すのは一日一句詠む事と無駄な時間を過ごさない事
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友からの愚痴の電話を終えた後夜長の秋にトマトジャム煮る
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正確な目覚ましに起きスイッチオンこの秋初の新米を炊く
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禅坊主 若い頃から憧れど 痛いだろうな股関節脱臼ざぜんのけっか
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