見上げれば天を貫く森タワー 麻布の弟負けられないね
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さかずきを合わせることもないままに4年過ごした学舎はしずか
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母スマホ 不具合直りてホッとする 昼まで待てずにショップ行ったらし
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朝パンを2種類並べて「パンビュッフェ」 本物ビュッフェではパンまで食べてられない
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「カタコト」とうちは寝ており上からの「カタコトカタン」早起きを知る
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幾春か初瀬の里に過ぎぬらむ古木の梅はまだ匂ひけり
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そうめんのあかいいっぽんひいたとき「じぶんだけのもの」をおぼえたよ
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春風に 乱れた髪も 整えず いっそ全てが どーでもよくて
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忘られしかどにも梅は咲きにけり花をあるじと訪ふ人もがな
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冬サラダ セロリ刻みし まな板の 立てるリズムに もうすぐ春が
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馬場のぼるヨシタケシンスケ五味太郎柴田ケイコの絵本大好き
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真夜中の強めの地震飛び起きて迎えた朝は血圧高め
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目を逸らす照れくさいのかお互いにスーパーで会うクラスメイトは
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Is that "mansion"? と目を剥いて訊く、うんまあおれも違うと思う
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世話を焼くより見守って欲しいとは成長したな孫に勝てない
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大好きな季節早めのサングラス自分を愛する誕生日の朝
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笑いたい明日ヘ自分の可能性思い込みより勘違いかな
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山裾に雪解けの水せせらぎて 細き一筋大河に流るる
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センセイはなべて〈知らない〉金もらい庶民は知らずに税あげられる
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夢を追い今はどこへ行ったやら 旅立つ君の背中を押した
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日本の人口減少つづきゐてやがて「限界国家」にならむとするや
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朧げな記憶で描くきみの顔輪郭だけで愛しいものね
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眠れない?「春は曙」と言うからもう少しだけ起きていようよ
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夜の底澄んだ黒色あなたへと届くことない手紙を綴る
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きみがすべての光源だった おまけでいいからわたしも照らして
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傷ついて 時間をかけて 治れども 気づかぬうちに 毒はまわる
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ポケットの中にはいつも紙屑と何も買えない銅メダル十円だけ
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おめでとう 卒業式は 泣かなくて 寄せ書きを見て こっそりと泣く
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十八で家出て気づくおやすみとおはよう言える小さな幸せ
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息巻いて買った知育のおもちゃたち 舐めては投げて でもパパうれしい
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