雨が降る 隠しきれない早鐘の心臓と汗をとじこめる檻
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僕だけがあなたの平和たばこの吸い方を知らないままにされて生きてる
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押し寄せる波が凪にならぬままシャツを濡らした 愛のように
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ありふれた恋の歌なんか嘯いた口で口説くな 触るな 見るな
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しとど落つ春の鱗のひとひらが傘をわすれたつま先に降る
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雨音と スピッツをまだ 聴きたくて 少しだけ眠い 遠回りの2
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深夜二時水滴の音響く部屋広さがなくなり時もなくなり
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淡々と日々の用事を終いにし 深夜1時の桜シフォン
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あまりにも儚く割れたふたりには残されたもの煮詰まって濃く
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羽ばたきを見てた証拠のクリオネの割れた硝子の羽根の切っ先
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みんなしてソメイヨシノで盛り上がり桜は八重も忘れないでね
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沁みるから私の愛に触れないで独占欲はまるで傷口
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氷結の パイン味を 飲む頃は 君の氷は 解けてるだろうか
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今までに 犯した女を 数えながら 今夜は私の ベッドを揺らすの
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初デート 買ってもらった お揃いの スタバのマグも 今は灰皿
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せいぜいね 夢で逢ってね 元カノに 今夜も背中 向けて寝るのね
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減らず口 黙らせたければ 金を出し 今すぐ部屋を 立ち去ることね
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瀬戸の春 浪長閑なる 多島海 段々畑は 猫ぞ恋しき
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窓際で耳をすませる雨の音わたしの心洗い流して
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シンプルの 概念は美学か 数学か 因数分解 破壊か秩序か
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いつからか 音楽から神が 消えたのは 資本と科学が 生まれた頃から
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バロツクを 聞きに行くのに 入場料 金の匂いの ゴシツクの梁
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アールヌーヴォー キュビズムを経て アールデコ 新大陸の 資本のかほり
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ステキだよ 似合っているよ 緊張のスカート男子に無言のエール
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気の利かぬ 言葉並べて癒されぬ ストレス上書き 寝付けぬ夜半
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タピオカはすたれ目黒通りにていつのまにかのバナナシェイク屋
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久々の外出びより北向きの会議室にてUtakata覗く
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ガラス戸のにじむ君は淡き春まぶたの裏にしまいこむ夜
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二十二度夏の陽気に浮かれても明日の予報は最高三度
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冬こもり(枕詞) 春の川辺の 櫻花 早くな散りそ 雨は降るとも
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