火傷みたいに熱い苦しい痛い十三歳のからだが叫ぶ
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悔しさを 認めたくない 一心で  何度でも打つ 剣道場
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ごめんねとその一言が聞けたなら許せることはたくさんあるのに
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朝寝して 温め直す筑前煮 具の歪さに苦笑いする
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枝々をられし銀杏いちょうの木にふるさき新葉の健気な黄色
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秋の空 思わず足を 止める人 美しいもの 写真に収め
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来た道を だらだら下る ようなもの 得てきたものを 捨ててゆくよう
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この歳で 酒を仰ぎて 山登り ゴルフ興じる 人を嫌いて
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高潔な 人を仰ぎて 俗悪な 人を嫌いて 未だたじろぐ
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生きてきた 道を思いて 振り返り 進歩なきこと 甚だ至極
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俗悪な ことを軽蔑 する割に 他人には言えぬ 下品な趣向
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もともとが 人間界に そぐわない 気性のゆえに 苦労は絶えず
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絶対に 怒らないこと 決したら 挑発増える 爆発的に
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優しさも 度を過ぎるほど 馬鹿にされ 虐められてる 最近のこと
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干渉が 無性にイラっと することが 異常に増える 最近のこと
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犬!犬だ首輪あってもうちおいで!逢瀬をするはねこあつめ?へ〜
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新しく始めるためのテキストに人見知り 漫画を上に
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人格の 崩壊なのか ストレスの 限界なのか 老いぼれ加速
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歌碑の立つ墓前にひとり詣で来て我なき後に思いを馳せる
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我が姉は美しき人歌を詠み若くして去り今日は命日
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自分の選択を信じて進め マークシートだらけの人生を
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空洞になれば人間も空を飛べるのか 臓器などくれてやる
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ドタキャンもドタ参加もあり高齢者ゴルフコンペは「老い盛り」なり
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良薬は 口に苦しと いうけれど 甘く言えるの が偉い人
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天高く尾を引く飛行機見送ればならぶトラックについ ヨーイ、ドン
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大空を悠々と飛ぶ鳶でさえ餌をもらいてペットとなりぬ
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泡沫うたかたの恋に溺れて泣き濡れたラブハリケーンが吹き荒ぶ夜
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友が問うフジバカマ好き蝶の名は記憶を駆使しアサダマオチャン
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包丁を逆さに持って皮をぐ ゴボウの白さにいつも驚く
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愛するは あかひとみの 白い人 変わらぬ君は 絵画のようね
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