ワルキューレ ヒトラー倒す 計画を 演じしクルーズ 歴史見直す
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張り切って ジムに通うも 膝痛め 無理は禁物 我が歳思う
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つながりが 嬉しさを経て しがらみに わがままな吾 加齢と言い訳
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人生を 俯瞰ふかんすれば それなりに 自分の不幸 楽しくもあり
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生きてきて 生きてる今すら 語れない 時にはミノムシ 人生バンザイ
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【納涼】みぎのてを きみににぎられ なつはなび ひだりもだれか にぎっているが
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テレビではたかが経済貧乏で善いじやないかと正彦の言ふ
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気が付けば前ゆく老と階段をのぼる速度が同じでありぬ
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飼ひ犬は逃げたがりしが一秒で狂犬病の注射終はりぬ
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地球は人間を滅ぼすために熱くなり寒くなりたまには爆発もする
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ベランダに落ちた蟬が転がっている 喧しく鳴いていた一匹の死
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三〇度かまだ扇風機で足りるエアコンは一階のわんこ専用
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「アマレット」名前までそんなのだから牛乳で割られたりするのだ
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あなたの派手な髪の色 眩しすぎて不眠を心配してしまう
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よろしくない事態想像し 鬱になるくらいなら祈れ 求道者だろ
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ロキソニン湿布に鎮痛剤服用 けっこうボロボロ それでも「長女」
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ハーブティー淹れる気力もない日々が 重なってゆく せめて明日は
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十七歳 子供でいれる 最後の歳 まだ甘えたいはず 荒れた夜
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氷山は海の下みえないとこほどおおきくて 人の言葉も同じじゃないかな
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私たち、合わないねって言う君の寝顔見ながら本音をはか
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前日に終わりにしたいと言った君 いつもどおりにまた泊まる君
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「あの娘のね父さん刑務所いるみたい。」でも別れないその深い愛
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真夜中に娘一人で帰すなど好んで毒母してるんじゃない
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かみさまが生きろといった すぐそばで 首にからまる恋の妖精
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お留守番あしたは花に水やって また家族するときを待ってる
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不意に来る逢魔が刻の淋しさに大口あけて飯を頬張る
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寂しさは苦しさ 一人でいることにいつまでたっても慣れはしなくて
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「さよなら」は聞かないでおく 星と星、離れていても結べば一つ
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傲慢ね、痛みを分かってほしいのも痛みを理解したいのも。
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サマータイム 天に白玉はくぎょく 涼やかに 月の光りで 今宵を明かし /  熱帯夜
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