追悼の花にやさしい雨が降る次のバス停までは泣かない
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なぜかしら 地元に戻ると ホッとする これもまた 旅の醍醐味
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カフェの隅「更年期やば」「まだ若い」友の目元のたるみ見て言う
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このデカイ木彫りの熊を捨てれればあと全部軽に乗せきれるのに
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ありのまま 等身大で ありのまま 時の運まで 引き受けて生く
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都会では蚊を殺さずに済んだから地獄に行ったら救ってもらう
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息苦しいが生き苦しいにならぬよう 今日も世間をナメてきましょう
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綺麗な人生歩みたかった そんな人生どこにもないけど
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早生みかん 皮をむいて深呼吸 青く酸っぱい癒やしのアロマ
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雨予報 雲覆う空 西の方 ほんのり朱に染め 長月が去る
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振り捨てし世の恋しくぞなりまさる伏見の里の鈴虫の声
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時刻表 検索できぬと電話鳴る 母よヤフーをもっと使って(慣れて)
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白くまに別れを告げてまた来年 動物園ではなくアイスです
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軽トラの座席が上がる過積載稲刈り時分誰もとがめず
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角ばって派手なカラーのギモーヴは元は可愛いマシュマロだった
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カフェラテが ぬるくなるまで 眺めてた 名月よりも 明るい横顔
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意思もなく 産まれた世界で 「意思を持て」 「考え生きろ」と 無理難題だ
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渋谷駅 乗り換え難し 昔より 東横線と 埼京線とが
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秋の空夏の空とは違う青 ブルーのシャツ着て空を見上げる
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4kgキロを抱えていって 肩、腰が 大人ねこにしちゃ小柄だけども
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渇望が無数の蛇の絡み合う都市の奥から滲み出す夜
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去年まで踊れなかった我が息子 今年バッチリ キレッキレッでした
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息子たち プレゼントを前借りす いったいどこまで前借りする気?
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行く道でメチャいい短歌うたを思いつく 帰り道ではもう忘れてる
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尊敬をする人はない息子キミは言う 尊敬するともう超えられないと
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もう一度やり直したい子育てを 息子キミとの会話反省ばかりで
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この味は ずっと変わらぬ 祖母の味 定番味の 希釈めんつゆ
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君と僕出会った夏は幻だ実際その方が良かったんだよ
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仲秋の 満月天に 浮かびたる されど月暈げつうん 秋雨しゅううの予感
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忘れずに今年も訪いくる雪虫の律儀さが好き 冬は好まず
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