吐き出した言葉と吐き出せなかった君の知らない俺の気持ち
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父の事故聞いて実家に舞い戻り ぽっかり空いた今年の3
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あの景色もあの味も 覚えてないのに 思い出すあの子の顔
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写真見ても1個も覚えてないけれどあの熱だけは絶対本物
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王道を歩んだ人馬への褒美 歓声あがりオペラスターは
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闇の中 磯鵯ひよどりが啼く 街の屋根 春の夜明けを 待ちがれてる
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徒花あだばなは実を結ばぬが だとしても無駄ではないと僕は知ってる
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街角の女子高生のつけまつげが受信している刹那の切なさ
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黄水仙 ムスカリの青 西国の 国旗を思い 平和を願う
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換気の為部屋の窓開ける   網目から覗ける8bitの碧が綺麗
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さくら色 並びし棚見て 春を知る 義父のビールを買う日曜日
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ピカピカの新一年生迎ふ頃満開なるや学舎まなびやの桜
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胃の中を全部ひっくり返しても 飲み込んだ言葉分からないまま
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長旅をしてまで会いに向かいます 片道切符花束ひとつ
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ドーナツの輪を覗いても君はなくただひたすらに日々があるだけ
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メール便短歌形式良いのかも長いと斜め読みされるだけ
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タヌ猫とひとつ布団を分け合ひぬ ふかふか青い上等毛布
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スペインのまあるいお菓子ポルボロン 願いが叶うおまじない有り
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いただいたお料理並べて 母と二人 室内お花見 さくらのクッキー
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凭れてもいい山手のドアはなく無殺意と死に挟まれている
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咲き始めの 桜の下の 宴でも 酔うた笑顔は 満開のよう
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左手に繋がっている思い出が右目から流れ出す三月
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山笑う 誰が最初に言ったのか ころころとほころぶ花見山
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春嵐はるあらし ねて日影のさしぬれば 照れる若芽わかめきほひては
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おりづるを 久しぶりにみて 日曜に  幼き日のこと つれづれに思ふ
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薄曇り せっかくの春 味わえぬ  日々に飽きて つくる桜餅
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さらさらと太平洋の真ん中に繋がっている春の小川が
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私はね 寝ても覚めても 君ばかり 君の心に 私はいない
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朝食の窓辺に大きぼたん雪春を報せるそらからの文
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珈琲を 呑めば必ず 思い出す 忘れられない あなたの香り
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