どくだみの花咲き初むる朝の雨心は道に惑ひぬるかな
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朝出会ふおうな畑の草を抜く丸き背中は土慈しみ
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カフェで一人パフェ食すひとり時間 さみしくも楽しきささやかごとなり
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青空に ぐるりと回る観覧車 車窓の吾子が爺ちゃんと呼ぶ 
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青森は五月なかばの気温にて沖縄に次ぐ暑さと伝ふ
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捨てらるる身をば思へば物悲しさへどうち笑ふ君うるはしき
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ていねいなにんげんなのでていねいにしごとをしたら午前二時です
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生活の音がだんだん消えていくきっとヘブンはきっと凪だね
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いつになく神妙そうなきみだからつぶやいておくほろびのうたを
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うつくしい 言の葉ならぶ 晩春は 眠気も惜しく詩集をめくる
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カトラリーまだ上手には使えないこんな私も26歳
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恋人になったばかりの僕らには テンポの悪い👍(いいね)が並ぶ
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憧れのあの子が好きな洋楽を聴いて巡った17の夏
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水たまり映る世間は鬼ばかり それでもたまに出る虹が好き
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くしゃみしてそっぽを向いた先にある袖口に付く口紅の赤
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疲れたとぐずるきみの手引いた日は 木漏れ日ゆれて 葉擦れがありて
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汗だくの一日流す事もせず節約なんて正しいのかな
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念願のユッケが美味い新鮮で衛生的な死をかみしめる
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「誰の歌?」耳遠くなる母にまで届いているよ猫の恋歌
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知恵の輪をほどくそのまま家を出てそのまま跳ねた人も車も
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大丈夫 そもそも私 無駄だとか 効率だけで 生きてはいない
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開けといた窓から流れ入るのは涼しい風で夜は夏じゃない
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締め切った部屋で回るよ扇風機網戸破れて窓開けられず
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思いの丈を伝えたはずが とってもらえず肩落とす/別れ話(都々逸)
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へべれけの頭に響くハイヒール駅のタイルはひどく汚れて
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思い出した今日の失敗 逃げるため開けた窓から涼やかな風
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帰り際元気を出してという菓子の甘さ心の重みを溶かす
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帰り道西陽に照らされ新人の悔し涙も光を帯びて
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六月のポップコーンだ フォーカスの狂った視界 そのまま走る
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心砕き 心赴くまま往くも 心の在処ありか 三十一みそひとに訊く
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