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(
)
翁媼
(
おうおう
)
が赤い揃いのニット着て
紅葉そこだけ深み増す秋
5
山行きのバス待つ間の
一時
(
ひととき
)
を ごろりと歩道に仮寝と決める
3
持病にて気遣い暮らす老いの身にコロナが誘ふ黄泉路の闇へ
3
ひい孫は文月五日
呱呱
(
ここ
)
の声 日の出と共にふぐりも揺れる
5
忍び逢うケンジ蛍の恋明かり すげの水面にキラリと映る
3
結婚後 半年と1年とで 来た猫
(
こ
)
らよ 我が子でなくて何だというのか
13
揚げ物をさせたがらぬ母 心配性 ノンフライヤーが結婚祝い>8年ほど前
7
古里に一人残れる
友の
(
おんな
)
居て色々届く庄内の味
8
寝ぼけ顔鏡の中のもみあげはやたら元気な白髪が跳ねる
10
夢のなか
小人
(
こびと
)
となりて 飼い猫に食われる寸前目が覚めたり
7
ホムセンの 園芸の秋庭 人群れに 赤を散らすごとく 彼岸花揺れ
4
あと一分もう一分と起きられず結果飛び起き時間とケンカ
20
洗濯機ごみ取りフイルター猫の毛を探せどみえず君はもういない
26
車椅子 座りし母の か細き肩に 思い馳せるよ 若かりし日々
16
大切なひとの数だけ心配あり大切なほど不安は尽きぬ
10
きりんさんのお顔が無いとクレーンを指差す孫の顔は子狸
7
崩れない天気を”一円玉”という 気象用語の感性 天晴れ(あっぱれ)
9
チュンチュンと 朝の挨拶 忙しなく 澄んだ空気を
小鳥
(
とり
)
も喜ぶ
12
先々の予定が少しづつ決まり 未来への道ひらけるようで
9
我ら皆その日を知らぬ死刑囚今日呼ばれるか明日呼ばれるか
8
洗礼盤へ降り頻りゐる項強き民の金合歓が散りぼふ
2
咳嗽に銀歯まじりぬひゑびゑと書房ゴヤより挿絵が届く
5
どれくらい 頑張ったら いいんだろ 疲れた身体が 今日も泣いてる
9
今宵
(
こよい
)
また 床の中で 勉強し 「まだ?」「まだ?」と 朝待つ私
5
やっぱりね
齢
(
とし
)
に勝てない この身体 病に押され
土俵際
(
どひょうぎわ
)
なり
7
うさぎねこ そんな造語をつくりたい ちま猫のおみみ やわらか大きい
7
稼働する空気清浄機。 部屋は夜。 青いランプが瞼を突き刺す。
5
もらいゲロの連鎖みたいな世界だよ 綺麗なものしか見たくねえのに
6
そういえば よしながふみさん すごいなあ この秋のドラマ 原作ふたつも
5
眼窩から零れる汁を海水にたとふることに踏んだ二の足
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