夢の中わたしのもとにかけてくる ベッドが跳ねる羊がデカい
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服の裾はねた汚泥の染みのよう しつこく残る君の言葉は
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腹痛いし全部ムカつくし死にたいし 超楽しいしパン美味しいし
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ぼくの左手で掴んだ白球は空より青い地球ほしより重い
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夏風邪 飲み終わったいろはすをぐしゃってして感じる実存
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入れ替わり戻れないまま20年。母に似てきた互いを見やる
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このハート 身体ボディも長い 付き合いで 替えがないのは 生き物だからか
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あり得ない体重計を飛び上がる漫画の仕草今なら分かる
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噛んだラムネの色はどこへゆくのか 君もいつかは砕けて溶けて
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明日あすきたる 短針長針 秒針が 重なりすでに 今日は昨日に
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いつか死んだ先にある世が真っ白な石と空だけあったら嬉しい
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死ぬことを考えるだけで救済となる それに自覚的なわたし
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形から作家文豪気取れども言葉浮わつく己の未熟
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家計簿が煩悩示す熱帯夜悟りの境地至りたき汗
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荒れる空、地球は熱に侵されてCO2にワクチンは無い
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あの夏に 逢えてよかったと いつかまた 思わせてくれ 紫陽花の花/過去作
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気がつくと爪が伸びてる 生きてるって感じがするね めんどうだけど
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傷ついて傷を背負って苦しんで それでも貴女は綺麗なんだよ
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もしいつか違った形で出逢えたら きっと笑って挨拶するよ
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本読まぬ書店の店主見つけたりせわし接客合点しかける
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一秒を 無限と錯覚する程に 貴方を待つこの時間は長い
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その気がないのに死にたいと思うこと一生そんなことを言ってる
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ほくほくのグラタンをひっくり返したときから身に付いた品性
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心地よき香を放ちつつ咲いている夜目にも白きハシドイの花
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いつかまた 知らない街で 然りげなく すれ違うように 君に会いたい
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飴玉が包みの中で少し溶け 午前の散歩も吾も溶けるか
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参観日 落ち着きのない 我が子見て 四十年前の 我を重ねる
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救いとは一体なんなんでしょうねえ タオルケットのざらざらをなぞる
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お仕事が俺の日常を蝕んで 空々漠々空々漠々
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何もしないことの幸せ何もしないことの取り返しのつかなさだ
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