五個あれば星になるピースのうちの片手だけを出してる人みたいにさみしい
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恆星のごとき朱色のベゴニアの金曜オフィスに獨り立てる夜
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ぼろぼろの、子供用チャリ 跨って。古き記憶が、ペダル漕ぎ出す。
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思ひ出の欠片集めて人ひと生きる 優しさ貰ひて勇気貰ひて
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手に取りて母と一緒に編むように かぎ針の先 生まれるモチーフ
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幼き日 大人に混じりひたむきに手編み習ひぬ 母の教室
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パソコンのバックアップが飛んでって十代の日々天に還った
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正気でいよう正気でいたいばかり繰り返しまた月曜が来る
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国道の 何時いつも見ている 道しるべ 「前に進め!」と 照らす絹路きぬみち
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クッキーを焼いた匂いを嗅ぐような幸せに落つ夢のほとりで
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秋色のオーケストラは不協和の喜劇と悲劇混じり奏でる
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久々にお湯割り作るが熱すぎて仕方ないやと焼酎を足す
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微熱あるわ そろそろ飲むのもやめとこか 今夜は鍋を解禁とせむ(あっためるぞー)
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誘っても断られること多くなり 土日に増える父の留守番
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人生で君二回目の美容室「プロは違う」とご満悦なり
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チリチリチリ ちま猫ちゃんが やってくる おかあちゃんいた「ニャーン」と一声ひとこえ
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夏日でも暦に合わせ顔出した米粒ほどのシャコバの花芽
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べっこう飴 素朴な懐かし甘さかな 小学校で作ったりしたっけ
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埃あつきを払ひのけて頬杖をつきて思へり ただ春のこと
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ピクピクが止まらぬまぶた ちっぽけな画面だらけで進化しちゃうよ
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だるいからあさからテレビで野球みた今はテレビでサッカーみている
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閉塞す。時代は雲にふたがれて 私はここに空白の詩だ
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テキストみたいな進み方のカウンセリング 優しい人が病む世
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凛然と記憶のブーケ抱え込み彼岸の淵に立ちおる私
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一日の終わりに部屋を片付ける吾子の遊んだ名残り眺めつ
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母の指ぎゅっと掴んだ一歳の強さに成長噛み締める秋
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思うよう動ける身体と働ける場所のあるのを喜んでみる
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新しいボールペンの書き心地は 走馬燈みたいに滑らかだ
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明朝の パンを切らしてならぬはと  スーパー立ち寄る  夕暮れの刹那
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うたた寝の夢で貴方に逢えたからまた目をつむる二度眠られず
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