故郷は 近くにありて 造るもの 市長になると 息子が言った
1
閃光を放って消えていくものよ電球花火ひとの命は
3
進むほど深い色味に落ちていくぼくらの住まう瑠璃色の月
4
継ぎ接ぎの作り笑いに包まれて「つらい、つらい」と呟いている
5
永遠に恋にはしない約束をするからこの手は離したくない
3
風呂上がり夕陽惜しんで肩並べ海岸歩く家族の気配
2
たどりつくのは出航地また次の旅を見つけるために旅する
2
窓開けてカモメの声をきいてみる潮の風吹くされどささくれ
15
隕石のかけらに遠い夢をみて青い空さえ奇跡になる
5
「じゃあね」と振り返らずに去っていく 母親おやは永遠に息子に片思い
3
老姉妹時をきままに語り合うスマホの中を似た声行き交う
7
大垣にサウナの聖地あるらしい 行った気になるダチのタレコミ
4
なつもどき セルフ散髪 バリカンは いっかい分に みたぬ金額
6
しょうらいに ふあんののこる くにせいど こくないじゅよう もどらずゆく
2
ふと口を ついて出るのは 諦めか やる気の無さか 春の気怠けだる
7
雨ばかり降るのは何処へでも行けたはずの未来に都合よかった
2
ひかりにも骨があったと知る朝のどうして折れてしまう木漏れ陽
4
きみのため 実行してきた こと全部 自己満足の 遊びだった?
3
注釈は本文に書け百通り定義を持つのが恋愛だから
4
引き算も愛のうちだよ 焼鮭に塩をまぶすのをやめるだとか
3
お互いの伝え忘れを伝えます もうきみのこと愛していない
3
2分間見つめて愛しいだんご鼻 汚い床も君の証明
2
今ならば 笑顔で話せる 自信ある だから逢いたい 初恋のキミ
4
初恋が静かに始まる 青空が広がるはずが 群青の空
1
王様へ 裸です風邪ひきますよ  無礼者 だまれ へックション
6
初恋が 実った途端 貝になる 想い溢れて 言葉にならない
2
ほお張れば フワッと溶けてく 綿菓子の メルティキッスに やられちゃったね
4
この気持ち 君が耐えてたツラさなら この苦しみもまた愛おしい
3
えぐられてちぎれそうな藤の木がそれでも葉をつけ花を咲かせて
9
神様に手がとどくほどたかく飛べ海と坂ある街のかたすみ
30