祈りとは意を宣ることと今日知れり口に出さねば叶わないのか
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「助けて」と「すごいでしょ」とが渦を巻く電子の海に浮くボロ筏
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毒林檎食べたフリして不貞寝する いつになったら起こしてくれる?
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引き絞るウィリアム・テルの指先が果実を目指し涎を垂らす
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パンを消しゴムがわりに食い写した今日の出来事「何もなかった」
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誰かが当たりを偽造した話でいつもドン引く駄菓子屋トーク
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いつ会ったかも知れぬ人から届くLINEギフトのコーラ一本
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置物のようなハートのマーク指し「いいね」と名づけた人を恨む
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開くドア無数に転がる一人部屋、仮想の誰か待ち朝がくる
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コンビニで食べたくもないポテチ買い、インターネットで男見つけた
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がばがばと おさつくばった 黒田あと きんゆうひきしめ 不況にもどるか
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斜め前黒髪さんの頬杖は六Bだから消しきれないや
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きみのこと 好きになっていい って言うなら その時だけね 見ていていてね
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これいじょうやさしくしないであたしのこころはもうげんかいなんだから
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早咲きのたんぽぽはもう旅支度 今か今かと吹く風を待ち
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日本に チャットAI 会社くる 欧米くらべ 規制がゆるい
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何気ない 君からくれる LINEがね 今の俺のね 安定剤クスリなんだ
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見送りに出なくても良いとドアの外遠のいて行く君の足音
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照れ隠しくるりと回り背を向ける 溶けた笑顔ととがらせた口
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きゅうを極む蒲公英のわたげは支度終え佇みて待つ旅立ちの風
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黒い渦 俺の壊心こころを横断中 いつになったら 熱帯低気圧いなくなるのか
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ふつふつと 酒はかもして 蔵人の 一所懸命 実りゆくなり
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真似をして 周りと合わせ 生きてきた 第二章を さあ、はじめよう
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どのように割り切ろうとも割り切れぬ数字は素数に想いは詩に
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通り雨追い越すために駆けていく生足が履く偽クロックス
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どこへ行く?どこへでも行く明日には 今日は最後の正しい私
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思い出す 風運び来る 花の香に 季節にいつも 匂い有ること
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水槽に繋げられては快楽を得る脳だらけ、単為生殖
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大切な金魚の涙に気付けない馬鹿な大人になってしまった
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買い替えの季節にどっと現れるスーツ姿をしている新品
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