本を閉じたら、文字の代わりに、何を届けよう。何を捧げよう。
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街灯が夜に浮かべた七分咲き住宅街は闇にて眠る
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いてててて いてててててて いでででで ででででででで ドライソケット
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「苦手なの乙女椿は完璧で」完璧主義者の君はそう言う
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林檎ならお前と齧る 楽園の蛇もついでに蒲焼にする
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砂と塩 オアシスの泥 絵葉書の中のあなたは微笑んでいる
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悪いことするときにするドキドキをニュース見るごと思い出してる
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髪なびく 帰り道にて たんぽぽと 流るる小川の 涼しき音色
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年取らば 都会を離れ のんびりと ここは山梨 信玄眠る
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この場所に 足りないものは 海一つ ここは山梨 信玄眠る
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ホーホケキョ 明日は祭日 花見かな ここは山梨 信玄眠る
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ホーホケキョ 久々聞いた 懐かしき 幼馴染か 鶯の声
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夕映えが霞んでみえる 国道のジーンズメガネはその場で修理
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死に場所は どこでもいいが このままじゃ ここは山梨 信玄眠る
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チクチクと背中に刺さる冬肌着 十七時でも夕暮れはまだ
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年度末ぶっきらぼうな倅食うはなむけのカツ蕎麦啜る父
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兵庫県 生まれ故郷に 偉人なし ここは山梨 信玄眠る
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帰り道 畑に寄って 水をやる ここは山梨 信玄眠る
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茜雲 萌え萌えしてる 夕暮れは ここは山梨 信玄眠る
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阿部寛 松潤ビビる 夜八時 ここは山梨 信玄眠る
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ホーホケキョ 富士の高嶺に 陽が残る ここは山梨 信玄眠る
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ソワソワとしちゃう春の夜きみだってどこかの街でぼくと同じく
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初瀬山尾上の桜咲きそめて麓の里に匂ふ鐘の音
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日の本を桜の国となさむとは神代に誰か契りおきけむ
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肩や背に桜のはなびら載せられて知らずに春の運び屋になる
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見て過ぎるひとを百年前の絵の老人はただ風として見る
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スーパーで偶然見つけた花一つ母に贈るよストックの花
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僕にしか出来ない仕事があればいい まだこの世にはないお仕事で
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真っ白な紙のページの隅っこに君のイニシャル書いておく春
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本当に あたし見たのよ ウシガエル 涙をつーんて 流していたの
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