右頬にホクロが三つ デネブ・ベガ・アルタイルって名前をあげる
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有り難や 日本語の書を押し詰める一時帰国の三蔵法師
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うなだれる私に付いてくる私 日陰へ逃げる夕暮れの道
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大夜空おおよぞら ぽっかり空いた 白い穴 輝く先で覗くの誰だ
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川原にて 一献傾け 黄昏れる 恥ずかしがり屋な 月との逢瀬
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さえわたる菩薩の光明あまねきて幾千億を一夜に照らす
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ヘカテーの神の鏡は乙女子の恋する人をかくあらわさん
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コンクリの下 そういえばもう見ることのない彼岸花があるはず
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オレンジに輝く月に息を呑む幻想的で畏怖するほどに
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酔いどれて ふわふわとして んだ歌 素面シラフんで 冷や汗をかく
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うるせばか 全部俺が正しいから 足並み合わせてトロトロ歩け
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中秋の名月見上げ君想う たとえ隣に誰が居ようと
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はやく妖怪になりたい 人間なんかなりたくなかったのに
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見上げれば輝きを増す満月の眩しさについ畏怖を覚える
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教本で 子育てイロハを 身につけた 今ならいい子が 育つと笑う父母
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初孫を迎えるにあたり子育ての教本初めて買う古稀の父
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チャレンジは悔しい事に付く尻尾これまでよりもパンは釜伸び
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「若者の○○離れ」高齢者達あんたらはあれこれできたようでなにより
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おやすみのあとは必ず「月が綺麗ですね」 心に響く今更気づく
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外に出て虫の聞いて月見上げ 心のシャッター静かに押した
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中秋ちゅうしゅうの 名月めいげつと聞き 見るつきは 知るまえよりも 美しく見え
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月を見て楽しむ余裕どこへやら キーマカレーの黄身眺めつつ
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「月が綺麗ですね」チャット開けたらあった思わずジャンプしちゃう夜/粘り勝ち?
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いつまでも秋が来ないと言いながら あら食欲は前乗りらしい
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中秋の そらに名月 ぽっかりと 和らに陽光ひかり 照りかへしおり
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膨らまぬパン膨らめと待つあいだ酸っぱい香りは酵母の吐息
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昨日からパン膨らまず乾パンに非常時までに備蓄できない
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少しずつ遠ざかる月のようにはできなくてただ走って逃げる
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大柄のあなたにビンタ食らわせて悲しいことはペチと鳴る音
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まんまるの月空に浮かぶスカイツリーもかすむ十五夜
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