たれゆえに叫ばんか夏草の枯るるところまで歩めるわれは
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余部あまるべの 鉄橋駅に立ちて見れば 降る雨の音 ひぐらしの声
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夏草のしげきひむろぞ悲しかる人のこころの冷えむと思へば
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雪柳 気高き姿 今ぞ知る 溢れる思い 師の叫びかな
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呵呵大笑しつつ夢にて父語る 地獄に居ると 焼かれる日々と
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美しく終わる恋などないだろう あるならそれは恋じゃないんだ
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いつの日か君とビーチに行きたいと 叶わぬ夢を今日も見ている
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哀しみに 押し潰されし こんにちに 自分にだけは やさしくありたい
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哀しみに よりそう瞳 愛らしく 己に勝つと 君に誓う
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病み上がり 孫と射的に 興ずると 時間経つのを 忘れる我か
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我が息子 雄々しき姿 感謝する 熱く燃ゆるか 我も負けずと
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闇の中に いる時は光は見えません 「止まない雨は···」 なんて 余計なお世話です
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コロナあけ  社内で飲み会やると言う  義理での参加はもうやめますわ
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補聴器の 聞こえることの 嬉しさよ つい会話へと 入る我がいる
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運命の人なんていません  それはただ  妄想なのです  思い込みです
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跳び回るねこに蹴飛ばされザックリと 消毒は手間だが元気の証
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スコーンとアップルパイの両方に生クリームが付く幸せよ
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八朔のだらりの帯もゆらゆらと 都大路にかげろう揺れる
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乱れ飛び 火に向かい行く 酔いどれの 死んだも気付かぬ夏の虫らは
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はなしたり かたりあったり したたかに 生きていこうね ぼくらのここで
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肌に落ちる  水の温度がほんの少し  冷たく感じる 秋のはじまり
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夏の嵐 かぜにまぎれて去るひとかげを追っていまだ正体もなく
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捨てされば 新しきもの 掴めると 信じてひたすら部屋の掃除
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もう十分泣いたよきっと明日から虹が出るんだそんな気がする
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本当に好きだったからこそ振り返らなかった私とあなた
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今はもう枯れた花でも花束だから優しくなれるの、少しだけ
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僕のこと 結局好きなの嫌いなの? 君の心は解読できない
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球場に快音響く甲子園応援席の赤が燃え立つ
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眠りから覚める直前の隙間に潜む消えたはずの恋心
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猫が伸び 洗濯物が風に揺れ かけがえのない何もない午後
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