いつぶりだろう 背伸びをしたくなったのは
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いつか好きじゃなくなるのならその時が今来てほしい 好きを後悔する前に
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苦しさはいつも参考書の形
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死にたい夜に抱きしめて また夜が明けるまで 息をしていられるように
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この豆が二十五粒になる前になんとかしないと死ぬしかなくなる
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カセットをセーブしないで抜くように価値のなかった人生でした
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深夜までこまい作業を終えられず午前二時前空腹に病む
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恵方巻き 食べながら向く 方角は 4パターンと 初めて知った 
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いつも通り ゴハンたべてる ちま猫ちゃん さっきの「きゅーーーん」は 寝ぼけただけね
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エレベーターあべのハルカス展望台デートの場所はやはりここだな
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どぶろくを駅の名店街で買う綺麗なデザイン君に贈るか
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新たなる年を迎えて喜んだ時は昔か過ぎし日怖し
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新古今中古の文庫手に入れて助詞と助動詞じっと眺める
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友達と喧嘩別れの時が来てまた新しい縁が来るかも
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寒椿もうすぐ雪も消え去って微かな日差しが差す季節来る
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切り刻むような寒さはあの時の耳をかすめた悪口のよう
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春先の寒さが抜ける時を待つ姉の婚礼バージンロード
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流麗な雰囲気薫る君を見て触れたらどんなに良いかと思い
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ゲンコツを父に喰らったという父に祖父の頑固な面影を見る
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たまにはさ、ふさぎ込んでもいいじゃない リコーダーならいい音鳴るぜ
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「ごめんなさい、仮面、何度も付け替えて、どれが私か、分からなくって」
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授業中、真っ直ぐ背筋伸ばしてたあの子が逮捕されてた詐欺で
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同じだね 俯き揺れる 花見つけ カタクリの花 カタオモイ花
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三日月に寄り添う星に重ねても伝えられない寄り添う想い
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静々とひねもす雪の降るゆうべ父母と姉とをまた想いだし
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この愛をよそに渡してなるものか 見ていたいのは君の道だけ
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初めまして鬼だよ僕のこと怖い? ロケットダッシュでチュウする愛犬
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窓閉めて雪の様子を眺めたら風もないのに寝ぐせが揺れる
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静けさに怯えた僕を嘲笑うように黄昏れゆくゆくは明日
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凪いだ夜夢みた日々を夢みてる色づくほかない白百合の花
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