地を離れ友と疎遠になりつあり仕方ないわと豆腐を崩す
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あれは母かもめとなりて飛ぶ海の緑の深さ深い霜月
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いにしえの 私の写真 色鮮やか ヘビロテTシャツ 15年前
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いよいよだ、 鬼の住みかに初陣じゃ 喰われるだろが 鬼になりたい
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ショートボブ揺らして話す君の腕気づいていたよ透ける傷あと
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ほんのりと汗ばむ額 泣きじやくる子をなぐさめてねむらしむれば
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兄の妻 我驚し その方は 母が裂きたる 元部下なりと
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土曜日は日経と決め茶店へと 穂村弘の選歌ファースト
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衝撃だジバニャンたちのせいなのか。 神社で遊ぶ映画の少年
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初雪の便り遅れるおらが村 小屋に寝せたる板ぞ悲しき
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金風が ジブリパークの木々渡る サツキを見たり ドンドコ森で
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僕たちのトロイメライの正体が 青い夏風邪に暈されている
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夕暮れの秋空高く澄み渡り 去り往く碧が心を拐う
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雨の名残りにじめる空のさざ波によどむ空気を鴉声あせい引き裂く
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アスファルト 濡れた匂いが 好きと言う  傘さす貴方 思い返して
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ラ・フランス食べ頃だと言う家族には 病の我もようなしらしく
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「ミギ 、ひだり」の号令違うスタッフにキョトンの笑い小春のリハジム
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眠れずに過ごす夜長で冷えきった 鼓膜揺さぶる寺の暁鐘ぎょうしょう
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霜月の 凍てつく夜に満月が 青白あおき光が 夜の静寂に 
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ことごとく「利口な電話」に依存せし人類の果てはスマホ脳なり
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たわわ成、柿の実紅き、孫の頬 寒き外より帰り来たりし。
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タヌ猫の「ぷすぷす」寝息が聞こえてる 暗くて姿は見えぬが 和み
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散りばめた星くずなどとは言い難い君が散らしたビーズ拾えば
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秋の夜の、長き時間に、故郷を 想う心は、たわわに実る柿。
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いやいやをする子を連れた父親とすれ違う時励ます心
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また一つ涙を流し露となる心と体泡沫の夢
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懐かしの薬に眠剤変わったが 連日3時に目が覚めるなり
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親からのやっと届いた小包も開けてみたなら秋の折り詰め
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秋風に街路樹の葉の揺れる街もうすぐ着くよあのお店には
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晩秋は雨が降ったりやんだりのように誰かは誰かが好きで
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