春時雨 一雨毎に降る毎に 春の足音指折り待ちて 
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姿見に 映ろう君は 妖艶な 艶かしさで 雅なるかな
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少年は街を泳いでまなざしは世界一やさしい雑草になれり
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除雪して転んだ膝がまだ痛い治らぬ傷の貯まる裕福
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先見えぬ不安に駆られて俯くが 夜明けの前が一番暗い
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晩年は子供に還ると言うけれど 体も態度も大人のままなの
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いつの間に 眠れぬ夜の お相手が きしねんさんから きみになったの?
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言い訳は行くべき理由より多く 甘くあたたかい黄色いコーン
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グレイスとエマとニールの住む街で肩甲骨をぐーっと寄せる
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真夜中に 目覚めて悩む 恋病こいやまい リップサービス 巧妙すぎるきみ
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いつの間に 私のこころ あなた色 染まりし今は もう手遅れよ
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悲しくもまた嫌われて漱石の落ち着き先は薬剤師の手
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「ペンよりも剣が強いよ普通に」と言ってくるひとペンで突き刺す
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二兎を追うものは令和じゃ五兎を得る星野源が証明している
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もしきみが二年前から来たのならきっとそこまで変わってないです
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けだるげに時が経つのを待っているキャッチさながら並ぶ鉄塔
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何気なく買ったコーラのラベルにはおっとミャクミャク張り付いていた
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十五年振りの迷子は 明け方で 我が赤ら顔と 父の目の隈
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春隣 山の景色も 変わる頃 春告げ鳥は 清らかに鳴く
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月夜にはドリームコアを聴きながら 膜状の夢を感じさせてよね
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なに一つ学び終えてはいないのに 軽さ戸惑う卒業証書
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全米の涙の理由を知りたくて検索窓に指を滑らす
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あなたへのつのる気持ちが過去形になっているから手遅れですか
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この寒さ 雪もそろそろ 最後かな 思ってからが 意外と長い
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壊された壁が残っているように立ち尽くすしか術のない場所
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素通りは決してさせない存在が君のいる街降り立っていた
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少しだけ甘えていたい早朝は バターとイチゴジャムの味わい
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白薔薇は雨に濡れてもうつむかずひとつふたつと雫をいだ
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食べてなお痩せようなんて想っても そうはいかない体重計
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愛さずに愛されようと思っても そうはいかない浮世の定め
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