言い方が気に入らないと腹を立て 焼く卵焼き歪んで焼ける
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かつて観た 映画の俳優 ひとり減り ふたり減りして 寂しさ覚ゆ
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入れ知恵をされて嫌な気分がし上手くいったら親友と化す
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春めいて晴天の空輝いてスニーカー底なんだか弾む
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大阪へ吉本を観に出かけた日ダウンタウンが新人の頃
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ただ一度そういう恋がしたいなと母に言ったら私らそうよ
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しんみりとする別れ際旅立ちの君のスカート風になびいて
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八ヶ月前に変わつたアイテムの商品名の「新」はそのまま
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「残念なお知らせです」と介護士が「一人でカレー食べられてます」
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蛮行はゆるされませんほら見ろと北叟笑ほくそえんでた己は如何いかん
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悲報聞く持病の一つと重なりし ひとそれぞれとわかってはいて /いしだあゆみさんの御冥福を
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熱々がイイのは鍋の豆腐だけ 猫舌温度のカフェオレを飲む
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予定きめると 狙ったように おでましだ 今月前触れそんなになかった(油断した)
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よくなくねこ あんまりなかない ねこもいる おしゃべりずきは あぴーるじょうず
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水筒のパッキンすぐに入ったら朝のルーティンパチリとハマる
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うつくしい路傍の星になりたいと 願ったきのう 朝はつとめて
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友よりの 食材詰めし 送り物 いつも美味しき 郷土の恵み
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適当に辞典めくれば「ナポレオン」「鍋」と「生」の間に君臨
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愛だとか 優しさとかも 無償では めったにに提供されてないから!
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ペンギンの行列の如 ユラユラと 頭や肩が揺れる人混み
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雪消えて地面を見れば瑞々し草の芽も早背伸びしている
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追憶が層を成しては花弁に ハレもケもない春の呼び声
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絵が好きなあなたなら絵を乗り越えることのできない壁にも飾る
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ランコース 歩いて気づく 鳥の声
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寝たきりと言えばうちもと独り者母る野郎二人見つかり
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禅宗の修行のルーティン見て思ふ わたしは逆に「自由」に縛られ
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頬を刺す北の風にも春の陽の彼岸の入りの牡丹餅ぼたも亡母ぼうぼ
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屋根の上身の丈程もあった雪いつか退き汚れたトタン
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映画より君が気になる結末と引き換えに見る君の横顔
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天空から 呼びとめられて ハッとする 陽をね渡る 四羽の白鳥 / 一番乗り着ました
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