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薄れゆき 淡く色褪せ 記憶ごと 時にほどけて 声も消えゆき
8
冗談も嘘も言えない不器用なわたしの「好き」は伝わらないの?
17
オレンジの
凌霄花
(
のうぜんかずら
)
絡みつく 息つまるほど 濃密な夏
9
散らかして 掃除してまた 片付けて きれいになるも 終わることなし
9
背後には入道雲の森タワー 蝉の声など聴こえずも夏
10
嫌われて 見つかる度に潰される 蚊れらも必死 されどころすの
17
昼ごはん ドーナツ食べたの甘いやつ ずらっと並ぶ輪たちを買うたよ
6
ただ祈り捧げて今日も舞い踊る 野良ニャンたちも無事であれかし
20
休日を空ける必要なくなって 時間を埋めるため観る映画
7
盆近し 人の減る通勤電車 大人にも訪る 夏休み
20
そういえばあのとき決めた暗号の解き方をまだ忘れてないよ
13
両腕の蔦であなたに絡みつくのを抱擁とわたしは呼んだ
7
ですよね、ときみはひとりでさっきからワイングラスに相づちを打つ
15
クーラーを抜け出しスーパー銭湯へシャンプーと湯は惜しまず使う
21
津波との重なった日の5%オフもいちどやります
粋
(
いき
)
な
計
(
はか
)
らい/いつもの店で
18
我を棄て 笑って生きなきゃ赦さない 幸せならなきゃ赦さないから
17
祈りの歌 届いているか
朋友
(
とも
)
のもと 愛しているよ 三十年越し
22
祝!休み あれやるこれやる夢想する まどろむベッドに夢見心地で
8
車内にて終わり待ちたるパチンコの 兄と分け合うオレンジジュース
11
胸底の 黒いタールを みつめてる 白い世界へ 往く日のために
44
庭先に 床几を出して 西瓜食う ついこの前か い~や昔のこと
9
直前の会話忘るる幸せを噛み締めている老後の時間
11
相槌を打つことだけは得意です なんならフロアを沸かせましょうか?
7
きみが飲む散歩終わりの氷水 カランコロンと風鈴に似て
13
最後の日 幻滅させてくれたこと今となっては感謝してるの
8
安静にしててもどんどん悪くなる 免疫機能ものんびりな私
17
「しあわせか?」問いたくなって触れる腹 急所差し出す猫の気まぐれ
10
柑橘の はじける
香
(
こう
)
と 茶のしずく 新たな風が 朝日をくぐる
18
緑
(
りょく
)
深く日も遮りし
等々力
(
とどろき
)
の現し世たゆたう
勢田郷
(
せたがや
)
のウラ
13
恐れつつ我に飛び込む君のこと抱きしめたくて突き放したい
5
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