持ち歩く本の重さが日々増える一つづつしか読めやしないのに
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私だけ取り残されているような ニートに近い我が身を思う
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永いこと血のゆる傷であれよかし 痛んでいる間はきみを忘れじ
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これからが見頃の桜 北の地と友を思いて電車は揺れて
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泣き伏せて 眠った夜も 忘却す 朝日の優しさに包まれて
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担いだり前抱きしたり降ろしたり 意外に不便なリュックのかばん
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学校に行かなくたっていいと思う あなたが笑ってくれたらそれで
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春雨の雫眺め思い出す 会いたい人と会いたかった人
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気の早き穀雨こくうの庭を耕せる みみずの跡にわれほころべり
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通勤が終わってしまいもう然程さほど気にもならないタイヤ交換
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新緑とさくらいろのトンネルの哀しみ溶かす木と花の径
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雨の明け すずめの遊ぶ朝の道 桜の花びらおもちゃの如し
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職場にて廃棄予定のパソコンもZORIN入れて再雇用せむ
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家々の 自慢の桜咲き誇る 陽射しのどけき里山の春 
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「死にたい」と 誰かが書いた 落書きの 一を削って タヒたいにする
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眠れない今も夢だと思い込む 羊は飛ばずに針だけ進む
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コツコツと 続けるうちに 継続は 力になって 自信に変わる
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美しい世界ばかりを映すからぼくは眼鏡をそっと外した
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開かない母のスマホのパスワード わたしの誕生日ではなかった
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往来がカップルふたりの舞台だとしても世界の中心道脇ずらして
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故郷にも知らない土地にも春が来る 思い出すのは遠き日の花
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甘すぎて苦くなってたチョコケーキ作った自分の心の鏡
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新しい献立表が今月の生きる糧になりますように
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新学期はじまりウキウキしてるのは給食があるおかげなんです
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給食がいくら値上がりしようとも感謝感激よき昼ごはん
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誰彼の 人生に立つ 波風と その行く末に 気持ちが動き
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前日のうどんの残りに冷やご飯と卵を混ぜる吾の昼ごはん
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スパゲッティソースの味は家庭より離れるほどに美味しさが増し
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午前午後あいまに昼餉の用意して夜は夕餉と次の朝餉と
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お弁当箱の彩りよく見るとちょこっと違う双子のように
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