俺はただ陽射しのような瑞獣になって貴方を護りたかった
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水道をガブガブ飲んでのど鳴らし午後四時半の瞬間を生く
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降り注ぐ怒号にひとり茫然と我ではないとわかっていても
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また馬鹿な夢をみてましたと言ってあなたの影にごめんなさいを
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あの人と話す言葉のそこここに本音という名のルビを振りたい
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あなたから「好き」と言ってくれたのに 別れの言葉もあなたからなの
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青色の 空に垂らした ウロコ雲 夏が来たよと  雲が教える
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仏壇の 写真眺めし 亡き父の 形見に触れて 想いに馳せる
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ココの写メスマホの壁紙亡き日より いつでも一緒どこへでも行ける
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電車乗る昼のまどろみ心地よくガタンゴトンの子守唄聞く
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塗り箸で今日の昼めし焼きうどん やっぱりだよねズボンにぽとり(ああっ)
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正しさの世界で正しさ以外の美しさを求めて 描いて
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「いいよね」のあざとき言葉の切先を柔らに包む「いいかも」のきぬ
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料理サイトのレタスステーキ美味しそう! ‥そういやこの家ナイフはあるか?(汗)
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めづらしきものは一緒に食べたいが あまり美食に興味なきキミ
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噴水に初夏の陽ざしの乱反射 どっちの味方もしないと決めた
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暖かな雨のシャワーを浴びられず 色失せる紫陽花よ 空梅雨からつゆ
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バキッと背骨が折れる音 コンクリに叩きつけられた満足バー
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朝散歩 いつものところに 今日はない 沖縄ナンバー 5657
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「人生はあっという間」の言葉を信じ 今か今かと待っている
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いつもより早い時間のパソコンの鋭利な光 空梅雨続く
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持ち主が現れるかと期待して格子に吊るしたタオル捨てる日
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ルーティンで生きる我らは哺乳類同じところにまた糞をされ
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これだからやめられないのだと思い知る スポットライトが当たる瞬間
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背伸びした 予算オーバーのワンピース これが似合う女になるの
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妻や子の自慢話が大半の自己紹介は聞いて呆れて
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不信任出さないなんてがっかりの声にがっかりこんな時にと
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春に舞ひ梅の香に酔ふ胡蝶すら如月の雪愛づる知らずば
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きらきらとただ雨のなかきらきらと紫陽花の花かたつむり添う
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昼さがり誰かの家の鉢植えに薄紅の花名も知らぬ花
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