病院のビジネス用語おだいじに 目を見て言って元気わくから
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抗がんの治療逃げたきわれしかる 看護師見えず北風のふく
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じいばあの腰ふむまごのマッサージ ぬくもり伝う和の日のありて
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街煙り 隣町起きし 大火事で ここまで来たり 睦月の災か
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駅降りて 煙立ち込む 駅周り 何事なのか 盛冬の夜
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複雑で困難だらけの人生と設定してたの自分だ 笑う
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内臓の壁の剥がるる音して抱きしめてくれるあなたはおらず
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我死なば花一輪持て訪ね来ん「いいねボタン」押してそうろう
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炬燵には集まり弾む会話あり 寂しくならぬ 冬なせる技 
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初めての海釣り能登の優し波 雄々しき船長どうかご無事で
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嬉しいと悲しいののうざさなど 薪ストーブの火種にしており
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空のはて何があるかを思いつつ 今朝の献立考えている
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この店の一番人気えび天の 握り差し出す 新入りの人
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何を以て我が楽しみとす 酒は少し賭け事やらず女を買わず
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年二回 あるかないかの据え膳の 友の作った 黒豆の艶  
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ぜんざいのお餅いくつ?と尋ねられ 鏡開きをググる平和よ
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去年からやってるパズル千ピース 行方不明の猫の前足
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お年玉もらえるなんてこの歳で 嬉しさよりも大きい幸せ 
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起承の起、序破急の序を作れずに失敗知らずと豪語したって
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鏡餅型のプラスチックの底を開け「鏡開き!」と夫婦で笑ふ
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幸せは小さいものと知りました 雪に水玉 南天の実の
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「早いね」と困ったように笑う君 自販機の音で目覚める街
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HBで白紙を埋める三十分 文字の隙間で君を殺した
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「この人はいじめを見て見ぬふりをする」言葉の使い方で切り捨てる
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あなたの目は灰色がかってるんですね初めて見抜くあなたの目玉
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言わなくていいことばかりを言ってしまう 言わなくていいことは楽だし
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牛乳を注ぐ女が世の中の白を少しずつ増やしていく夜
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魂を 震わすことが 出来ないから 今夜も僕は 溺れる酒に
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安らぎを 求めるだけの 眠剤の ただ一包に 眠りを賭ける
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趣味だとか 好き嫌いだとか それなりに… 何かと問われば 答えられない
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