寂しさはごめんじゃなくてより深く僕の心の夕焼けにある
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薔薇は咲く 果たされなかった約束を交わした二人はもういなくとも
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みずから望んだのでしょう?蛙のように動けぬきみへ
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ゼミ終わり夕陽を背負って笑いあう若草光る教室の日々
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手繋いでよいか聞く君いたずらにダメと答えて差し出す片手
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スマホ無き時代に帰って文通のやりとりしたし令和七年
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プロ野球、推しのチームの勝敗に一喜一憂、母親のごと
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空席の光を抱いた矢は翔んで 置き傘ひとつ雨を待ち受ける
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「終電がくる前に」と線路越え 手旗のようなシャツを振るきみ
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冷房の切れた車内で時計だけ 爪を噛んではまた吐き戻す
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炎昼のアスファルトから蒸つ銀河 靴底でまだ鳴っている蝉
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今日よりも若い日はなく 明日をも知れぬ我が身だから 人の脆さを知っているから
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漢委奴国王印ほんものは指先サイズだって知ってた?
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行きたいところに 明後日行くつもりの私 いつか行くつもりの貴方
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ちぃ様と呼んでいた頃ときめいた あのアルバムを聞き返す夜
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よく見れば 蕾わずかに 残りおる 花の香りも 間に合いたるや
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ハミガキコ どこまで使い切れるかな むぎゅうとちからの入りぬる指
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雨降りで着替えもせずに過ごす日は洗濯物が少なくてよい
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恋では無いそんな軽さで済んでない さうでなければきみに届かぬ
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実家から戻った部屋が寒いのは五月の雨のせいだけなのか
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.遠方より友来たりあり、また楽しからずや 。懐かしい歌です
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二年前K子と訪ねし桜木よ 視力なくせし彼女はいかに
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カフェで待つ恋の予感の兆しつつ予感を打ち消す自分もいる
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思い出となる今日を生きているいつさよならを言われてもいいように
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豆ごはん「あとまぜ式」がよろしかろ 炊いたらわろし黄色くなりて
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満開に廃業農家の庭飾り桜前線オホーツク着
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藤房が 涙に濡れる 皐月の日 孫に送られ 父は永遠へと…
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「旨みをぎゅっと凝縮し」とか、食レポ言葉を使わず食べる
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ご近所の会社の敷地 石楠花しゃくなげあでやか咲きて休み明け待つ
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昼ごはん隣りの客はチャーシューメン二百円分負けた気がする
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