‪君よりも好きになれたらと思ってこの三年はひとりでいます‬
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ひび割れた殻に籠ってひたすらに眠るにはもう窮屈すぎる
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後ろ手に留め金はづすおもかげの白きせなかを恋ひつつぞ寝る
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暴力と酒とクスリを排除した美しいまちボクらの墓場
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鈍色の空足元に閉じ込めた水面に落つ一筋の雨
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火照る頬 寒さのせい と繕へど 君に取られし 左手のせい
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幾重にも 包み結びてかざれども 渡せぬままに溶けゆく想ひ
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秋晴れの赤い光に照る髪の 染めし我執の恥知らぬ君
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日が落ちて夜が孤独を呼び寄せる、私が私でいられなくなる
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雨濡れし椿の赤のくすむ色 憂う心を食って咲いたり
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太陽も月もいない 電球の切れた部屋と腫らしたまぶた
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風立ちて 山もよそほふ頃ならば 我も染まらむ 君の色にぞ
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亡きひとのまなざししのぶさざなみの志賀のみやこにかりん熟れつつ
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振れ廻る こころの為に 捨てよとは  その心馳を 無下にするのか
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1階と11階で111エレベータでもよく見るゾロ目
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寒がりで毎年この月コタツ出す温かいのは幸せになる
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トーフーと笛の音のする豆腐屋は知らないけれど懐かしく聞く
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ニュートラム船から降りて歩いてく向かう朝日は世界一まぶしい
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ゆるやかに死へと近づくぼくたちの集めた言葉流れつく海
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鼻にこびりついて離れない死臭あなたとわたしがここにいた理由
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師と呼べる方はあなただけでいい、破門と言われてもあなただけ
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どうして大切なことはいち早く綺麗に忘れてしまうんだろう
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‪ガラス玉だってあなたがつけたならどんな石よりきらきら光る‬
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宇宙船ニュートラム号から見てるきっと世界一眩しい朝日
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育ちって細かいとこに出るでしょうたとえば傘をどう閉じるとか
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寂しいと思うときには息をするまだ心臓が呼吸している
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傲慢なわたくしは今闘っている何といふ難事自意識
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のりつぎの駅にわかるるゆふまぐれ領布ひれ振るひとのとほざかりゆく
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「貴方だけ連れて行くよ」と君の云う その愛ステキだそのままで良いよ
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何もかも後の祭りだ分かってる、けれど思いは巡り巡って
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