恋人の町から雨は降りはじめ、濡れた地面のInstagram
14
紫陽花しようかが咲いたら何かしようかな 2ヶ月越えた休職期間
25
君の蔓 重ね滴る 紅い花 襞の奥から この世の果てへ
11
ギター弾く人のうしろを通るとき振り向かないでくれと願った
12
海岸の無機質の山 戻せない時間を収める音は無機質
11
ふんだくる ふんだくるくる ふんだくる カネからヤツを ふんだくるのよ
25
おひるねは 怠惰ではない お仕事の能率を上げ 合理的なの
22
バラストの灼ける匂いと風の音ローカル線のホームにひとり
22
後ろ手にまとめた手を引かれ行きいやだいやだと大喜びして
15
本棚は古本の香り十五年積み重なった私とあなた
24
雲の色をたしかめたくて 水平線ホライズン 大きな海のはじまりに着く
21
みみうしろ やわらか猫毛 もふもふし 思い出すのは 子猫の時代
22
逆光のなかにある街 清水の舞台の傾斜たしかめながら
18
この町の駅舎えきのライトに照らされてひとりにひとつずつ影はある
50
簡単な人でありたい薄い雲ばかり行き交う夏空のもと
35
球体の破壊あるいはたんぽぽの綿毛をとばす 遠くへ あるいは
27
ゆび先の 当たるつよさは 不安定 だけど気持ちは ショパンかリスト
26
ゆきどけに水面はあり冬舗道ひかりを受けていずこにも空
40