この街は水彩絵の具でできている 朝と昼とが溶けているから
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ただ君のセーラー服が輝いて夏の光の正体見たり
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輪郭を縁取る塗り絵 わたくしはもうはみ出したこともできない
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行き場のない心臓で仰ぐ曇天 うつくしいものはいつも降るから
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あと少しだけ寝かせてよ お薬の力強くて起きづらい朝
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横で寝ている人の温もりを以て思い描いてみる君の熱
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眼の中に冬の大気を閉じ込めた君よ静かに火の如くあれ
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雨の日に走る子どもを見たときは私のことをすぐ思い出せ
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これはもう言葉にしたら「恋しい」になってムカつくから爪を塗る
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君がいま私を見つめてる理由を都合良く五文字以内で述べよ
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いつの間に「かなしい」がぎっちり詰まって育ってるけどおひとついかが?
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カラオケの履歴は8割ラブソング 矯正具すら外せないのに
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幾億もくりかえすこれわたしだけ?で 深くなっていけ闇夜 いっそ
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飛行機に乗った時だけ知る宇宙 人は死んだらアレになります
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逸脱を競うと割と簡単に落ちて死ぬ狭い世界です
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竹取の翁の話よりずっと君の呼吸を覚えたかった
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椅子に教わる哲学みたいなひとだ きみは 映画にはならないで いて
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さわやかと声に出したらそうでもないから 漢字が好き 切り裂くような
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あの日々は正解とかじゃ無いけれど君は絶対花を踏まない
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小説の栞の位置は進まずにそれでもいいや桜は咲くし
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好きな声好きな温もり好きな顔 味の好みが合わないだけで
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率直に今の自分の想い乗せ短歌詠うも気分は晴れず
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ショパンより優しいのは君すすきのの 清く正しい夜の在り方
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強風はずるいあなたの腕の中SF映画ですぐ死ぬ二人
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できるだけ人を信じたい君の返事の感嘆符の数よりも
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眠りとは小さな禁忌屋上の夜が黄色く変わる時間に
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旅先の匂いが消えぬ手のひらが 性善説の唯一の証拠
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ダンジョンの魔物の肉は美味しくて妄想に現実リアルなんていらないの(過去作
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病室にさやさや揺れる千羽鶴 春の匂いのする方を向く
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就活の辛さを寿司で憂さ晴らし食べても腹が増えるだけで
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