おにく
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自我がありません

さよならの言葉は白い息になり雪と一緒に溶けて春になる
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‪幸せになりたいだけなのに誰かが傷ついてしまうのはなぜだろう‬
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窓辺にてひとりきりではないと知る風に揺れてる趣味じゃない服
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ストーブの前でからだを焦がしつつ子猫みたいに丸くなる君
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「あの時ね少し君のこと好きだった」深夜2時過ぎのサイゼで告げる
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ざあざあと寄せては返す海を背に思い出せないあの日を思う
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暴力と酒とクスリを排除した美しいまちボクらの墓場
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鈍色の空足元に閉じ込めた水面に落つ一筋の雨
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ゆるやかに死へと近づくぼくたちの集めた言葉流れつく海
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鼻にこびりついて離れない死臭あなたとわたしがここにいた理由
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次々と消えてく明かり我々の命とおなじ手軽さである
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名も知らぬ花をあだ名で呼ぶ君と僕とで作るノアの方舟
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悲しさを薬にしたら何色か分からないけど恐らく甘い
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‪君と離れ離れになるの嫌だから骨になっても手を繋ぎたい‬
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6時ごろ入るお風呂は特別な日だけまたひとつ歳を重ねた
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混じり気のないコバルトの空の下僕らはどこにも行けない迷子
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オレンジを落としたみたいな夕焼けに明日の天気を思う子供ら
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泡沫の夢の終わりは透明な鳥籠の中から見る世界
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ぼくたちは青白く淡い希死念慮切れたシャンプー 買い帰るのに
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青白い手首を飾る自傷跡愛ほど痛いものなんてない
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てにをはをきちんと使える彼のこと少し気になる放課後の道
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思考などとうにできなくなっている喘ぎ声出すだけの植物
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さようなら悲しくなんてないよなんて嘘をつくのがうまくなったなあ
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止まり木になってくれてた貴方から旅立つ日には雨が降るだろう
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ぷかぷかと浮かぶマシュマロコーヒーの海わたしにはやや甘すぎる
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曖昧な君と僕との境目をなぞる指先赤色の爪
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黒くもやかかる薄暮の橙色君の香りを思い出せない
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空っぽの部屋全て嘘存在と自我を捨てよう月曜の朝
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‪ぼろぼろの靴ぼくたちはずいぶんと遠いとこまで歩いてきたね‬
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感情のないロボットになりたいという感情をなくしたくない
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